Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

Code for Historyが株式会社コギトとその製品ambula mapをオープンコミュニティの敵とみなす理由

元から敵対しているStrolyだけでなく、最近の私は京都の株式会社コギトとその会社のambula mapという製品も、敵とみなして非難批判しています。
ambula mapはCode for HistoryのMaplatライブラリを使ってくれているプロダクトで、本来ならば味方と考えていいはずのプロダクトですが、私は今は敵視し、絶対ぶっ潰すことを心に誓っています。
なぜそのような状況に陥っているかをこの記事で説明します。

忙しいので3行で説明しろ、というあなたに

  • ambula mapに古地図マッピングの間違いや位置取得脆弱性があったので指摘したところ、「無償で協力してもらえますかね?」などと失礼な打診を複数回、まずされた
  • 逆に私が協力を仰ぎたいところ、対応するのが私の夢だったけれど法人格がないと実施が難しいようなことに協力を要請したところ、二言目には「それに協力しなければいけないと、契約書のどこかに書いてありますかね?」と言われ一切協力してもらえなかった

まあ、この2つだけで、オープンコミュニティ界隈の人々には「コギト、滅ぼすべし」と思ってもらえると思います。

もう少し詳しく

なぜ、Code for History (Maplat) 活動にもっとも金を出している主体なのに敵とみなされるか

Code for Historyの活動は、いろんな主体からの金銭的支援をいただいて支えていただいています。
純粋に寄付として年10万円以上を支援してくださる主体もおられますし、またシステムを納入した対価として金銭を支払ってくださる主体もあります。

そんな中で、株式会社コギトは正確には数えていませんが、現在まで50万円程度をCode for Historyに支払っており、現在のところ単一主体としては最大の額を支払ってくれています。
にもかかわらず、なぜ敵対視されるか?
それは、株式会社コギトが支払った額は、気持ちよく出してくれた額が1銭としてないからです。
50万円も出してくれたにもかかわらず、それはすべて、以下のどちらかでしかないからです。

  • そういうことは金をもらってもやりたくないから、頼むからやらせないでくれ、とこちらが頼んだにもかかわらず、やれと押し付けたことに対する対価(こちらとしては、どうしても聞いてくれないので、最初に無理を引き受けることでこちらの願いも聞いてくれる協力関係が築けるだろうと思い、最終的にはこちらが折れて引き受けた)
  • そうして無理を聞いたりして無数の貸しを作ったにも関わらず、協力関係にあるとは思えないほど一切、本当に一切こちらの依頼は聞いてくれないので、これはこれ以上この会社と付き合っても一方的に搾取されるばかりなので、これまでの協力の幾分かには見合う手切れ金だけ分捕って関係を断とう、と考え、知的財産的に彼らがある程度の額を払わざるを得なくなる状況を作り、手切れ金的に払わせた金

こうしてクローズソースでの開発を強要された

時系列的に語るため、後者の詳細はのちに述べるとして、前者を話しましょう。

コギト社がMaplatを採用してambula mapを作るようになったきっかけは、彼らがMaplatを見つけ、ambula mapを開発するために必須の部品として使いたいと声をかけてきたことがきっかけでした。
対Strolyで仲間が欲しかった私としては、ぜひ協力体制を敷きましょう、と答え、その声をかけていただいた最初期から、友人の絵地図師を同社に紹介したり、考えられるあらゆる協力を無償で提供してきました。
ただ、さすがにambula mapに採用するために足りない機能をMaplatに加えるための実装作業は、相当の労働集約が要りますし、工数を要求することになりました。

Maplatに他者の要求で機能を追加するにあたり、私の対応は基本的に一貫しています。
Maplatはオープンソースなので、必要な機能があって、こんな機能を付けて欲しいとレポジトリのissueで要請してもらえれば、その要求に私が納得して採用すれば、無償で対応します。
ただしその場合、無償の活動ですから、いつ実装するかはこっちの気まぐれで、来週かも3年後かもしれず、時期的な保証など一切ありませんし、そもそも要求を採用するかどうかの保証もありません。
もし何らかの開発に間に合わせるためなどで、ある時期までの開発を確実に依頼したいのであれば、私はそれにコミットすることに対して対価を要求します。
その開発成果は誰でもオープンソースにするのを前提で受けるので、なぜその開発対価を払わなければならないのかと思われるかもしれませんが、それは開発することに対する対価ではなく、必ず開発項目として採用し完了時期をコミットして引き受けることに対する対価として考えています。

コギト社が追加機能開発を依頼してきた時も、私はオープンソースにすることは前提ですと伝えたうえで、開発に関する時間単価テーブルをコギト社に提示しました。
ただその際に、私の方も余計なことをせずに画一料金テーブルで提示するか、あるいはオープンソースにできない部分は自社で全部開発してくれと言えばよかったのかもしれませんが、全部をオープンソースでといっても、たとえば自社システムと連携するような機能があればそれはオープンソースにはできないだろう、そういった機能であっても同一人物が一貫して開発した方が効率が良いケースもあるだろう、なのでオープンソースにできないクローズソースにする必要があるけれど私に開発して欲しい機能があれば、その場合はこの料金テーブルで引き受けます、と2段階料金テーブルを提示しました。
飽くまで基本は全部をオープンソースにするのが前提、クローズソースは例外的対応ということは十分に伝えたうえで提示したのですが、それを受けてコギト社から来た依頼は耳を疑うものでした「全部をクローズソースで開発してください」。

私はあわてました。
コギト社が要求してきた機能は、コギトが要求してくる前から、将来的にはMaplatにつけようと思っていた機能も多く含まれていました。
それをクローズソースで開発しろと言われると、当然お金をもらってクローズソースで開発したコードはオープンソース側に流用できないですから、同じ機能を全く違う2通りのやり方で開発しなければいけなくなり、オープンソースMaplatの開発を完全に阻害します。
もしコギト社がオープンソースにすることを了承したうえでその対価を払ってくれていれば、みんなが使える機能の開発対価を払ってくれた点でコギト社はコミュニティへの紛うことなき貢献者になっていたはずなのですが、クローズソースで開発するならば、彼らはコミュニティの邪魔しかしていません。
彼らは開発対価を払うかもしれませんが、それは自分たちだけが利益を受けるクローズソースの開発対価だけであり、同じ機能のオープンソース版の開発対価は払っていないどころか、クローズソース版を作らせることでオープンソース版の開発をより困難にしたという意味で、完全にオープンソース活動の邪魔しかしていないことになります。

私は実働の対価は当然もらいますが、別にお金稼ぎを第一目的として開発活動をおこなっているわけではなく、オープンソース活動が発展することを願って活動しているわけですから、こんな開発は2倍、3倍の額をもらってもやりたくありません。
ですから、彼らが要求してくる前から十分に説明していたつもりではありましたが改めて、私がやっているのは受託開発業務ではなくオープンソース活動なのだから、オープンソースとクローズソースの2段階の単価テーブルを提示はしましたがそれは全部をクローズでも受けるという意味では全くなくて、原則オープンソースでよほどの例外的な場合のみクローズソースでも受けるという意味だったのだ、だから撤回してくれ、ということを同社に懇願しました。
しかし、コギト社の判断は変わりませんでした「社内会議でクロースソースで開発すると決まったのですから、それで開発してください」。
この時点でコギト社への協力を断っていれば、その後のトラブルもなかったのかもしれません。
しかし当時Strolyという会社を相手に個人で孤軍奮闘していた身としては、どうしても一緒に戦列に並んでくれる法人の協力者は欲しくてたまりませんでした。
そこで、いくら頼んでもコギト社が折れてくれないので、これを引き受けて貸しにすれば今後大きな協力を引き出せるだろうと考え、こちらが折れました。

積み重なる貸し:「無償で対応お願いできますか?」

考えてみれば、この時点でボタンの掛け違えがあったのだろうと思います。
こちらとしては、死んでもやりたくないようなことを引き受けたのだから、このクローズソース開発を引き受けたことは、いつかは返してもらえるコギト社に対する大きな貸しになると思っていました。
しかしコギト社にとっては、ちょっとお小遣いみたいな金を渡しておけば言うことを聞く弱っちい外注に、一つ仕事をまわしてやった、くらいの感覚でしかなかったのではないでしょうか。
結果、こちらとしてはむちゃくちゃ貸しを作っている意識にもかかわらず、彼らとしては単に対価を払った開発発注でしかないので、こちらが貸しの返還を求めて協力を申し出ても、なぜそんなことしないといけないの?最初に書いた、「そんなことすると契約書に書いてありますか?」という意識だったのかもしれません。

しかしまあ、仮に最初のクローズソース開発は借りだと彼らが捉えていなかったとしても、その後こちらに複数回「無償で対応してもらえますか?」などと厚顔無恥にも打診してきた時点で、彼らに「そんなことすると契約書に書いてありますか?」などという資格はないわけですが。
むしろこちらの方が、「無償で対応してもらえますか?」と問われれば「そんなことすると契約書に書いてありますか?」と答えるべきだったような立場です。

具体的にどういうシチュエーションでこのセリフを言われたのかというと、コギト社に貸しを作って協力関係になったつもりでいた私は、当然ながら協力関係というのは双務的なものですので、こちらからambula mapへの協力も自発的に、積極的に行いました。
大した労力を伴わない協力としては、友人の絵地図師のコギト社への紹介から、自分がメディアに取り上げられたりSNSに記事を書いたりする際は必ず一緒にambula mapも紹介したりもしましたし、 大きな協力では、コギト社がambulamapのために行った古地図のマッピングが、近代以降に開かれた通りを気づかずに江戸時代の古地図と対応させて無茶苦茶なマッピングになっていた点を、検証して指摘したり、ambula mapで行われたポイントラリーイベントで、同アプリが位置情報技術に詳しければ対策を打っていて当たり前の最低限の位置詐称対策をやっていなかったために、悪意あるユーザが操作すれば誰でも現地に行かずに全タスククリアできる脆弱性があったのを、これも検証して指摘したりしました。
これらは検証して指摘するだけでも労力を使い大変だったのですが、指摘するだけでは素人には対処法がわからないので、間違わないようにマッピングするためのコツの資料の作成や、位置詐称対策のやり方の情報提供など、相当の労力を費やしました。
これらの時、コギト社の対向役であった営業部長に言われた言葉が、それらを「無償で対応してもらえませんか?」という言葉でした。
私の記憶が確かならば、確か、マッピングの間違い指摘時と位置詐称脆弱性の指摘時、両方ともいわれた記憶があります。
私は両方とも、指摘だけでなく対処法の資料作成まで、結果的に無償で対応しましたが、さすがに2回目の時は少しキレて、「協力関係にあるから協力はしますけど、誰でも持っているわけではない、私の貴重な過去の経験の積み重ね、ノウハウを惜しみなく提供しているのに、さすがにその物言いは失礼ではないですか?」的なことを苦言した記憶があります。
それに対しての向こうの返答は、「すみません、でも営業なので、少しでもコストを減らしたりできる可能性にはまず打診してしまうのです」というものでしたが、いや、それ全然失礼なことをいう言い訳にも何にもなってないから。舐めとんのか。

このように、たとえ最初のクローズドソース開発を貸しだと感じていなかったと仮にしても、その後も数多くの協力をこちらは無償でしているのみならず、厚顔無恥にも自分たちの方からも無償を要求するようなことをしておきながら、つまりは明確に貸しになるようなことを自分たちで能動的に要求しておきながら、翻って自分たちが協力を要請される側に回れば「契約書にないでしょ?」と逃げて一切、本当に一切協力しなかったのが、彼らコギト社であり、それゆえにこちらは怒っているのです。

私が協力してほしかったこと(1):Maplatを中心としたエコシステムを作りたかった

では、私はコギト社に何を協力してほしかったのでしょうか。
もちろん、いろんな次元の話があります。
Strolyに対応するために足並みをそろえた施策を取って欲しい、特に私は20年以上位置情報ビジネスをやってきたノウハウがありますから、何か位置情報コンテンツが施策を取るのに効率の良いやり方は生き字引のように頭の中にありますので、非効率な施策を打つ前に一言相談してほしかった、みたいなこともありますし、
あるいは私が自分の活動でことあるごとにambula mapを宣伝してきたように、ambula map側にも露出することがあればMaplatを宣伝して欲しい、といったようなこともありました。 そういった小さい個別の希望とは別に(こういった個別の要請にも、少々宣伝してもらったことを除きコギト社は一切協力してくれることはありませんでしたが)、大きな方向性として私が彼らに協力してほしかったことは、

  • コギト社のビジネスを軸とした、Maplat協力者のエコシステムを構築してほしかった
  • 私が打ちたいMaplatの次の一手のうち、法人格がないと難しいものについて、一緒に取り組んでほしかった

といったものでしたが、このいずれにも彼らは協力してくれることはありませんでした。

前者についてですが、私はStrolyに対抗してMaplatを作っており、システムの発揮する性能としてはMaplatはStrolyをはるかに凌駕していますが、しかし技術の開発だけではStrolyに勝つことはできません。
システムにはそれを扱うコンテンツ - StrolyやMaplatの場合は地図 - が必要ですが、技術開発からコンテンツ制作まで1人で回しているのでは、全く勝負になりません(まあ、そういいつつ現状のMaplatはほぼ9割のコンテンツを私が自分で作成していますが)。
幸い、私にはStroly時代の同僚で、おそらく同じようにStrolyに反感を持つ優秀なマッパーの友人がいますので、どうしても数コンテンツを作らないといけない時は彼女に頼んでデータを作成してもらっています。
しかしながら、いくら私自身が開発をオープンソースだから無償でやっているとはいえ、「だから地図コンテンツデータ作成も無償でやれ」と彼女に強いることはできません。
むしろ、「Strolyに反感があるから協力するだけでなく、Maplatに協力すればお金も入ってとても得する」というポジティブサイクルを回すために、対価はきっちりと支払わないといけません。
なので、私はたとえ最終成果物が売り上げが立つわけではないボランタリーなアプリケーションでも、それに協力してもらうときは基本、自分の小遣いを削ってでも対価を払って協力してもらってきました。

しかし、私は幸いそこまでお金に困っていませんが、とはいえ私の小遣いで出せる程度の仕事量だと、とてもむちゃくちゃ儲かって嬉しい、と思ってもらえるレベルの仕事量は友人に振ることができません。
そこまで定期的にマッピングの仕事も振れるようにしようと思えば、きっちり事業としてMaplatを用いたビジネスを展開してくれる会社、法人を探して、そこが受注した仕事のマッピング仕事を振ってもらうしかありません。
マッピングに限らず、絵地図師、イラストレイター、その他の技能を持った人々含め、Maplatで事業する会社さんを軸として、Maplatに関わった人が少しずつ多く仕事が入ってラッキー!と思ってもらえるエコシステムを作りたいと思っていることが、私はコギト社含むMaplatで事業する会社さんに協力してきた理由の1つです。
決して、Maplatを使っても社外には一切還元せず、独占的に儲けたい!と思っているような会社に協力したいと思って協力してきたわけでもありません。

なので私は、私個人には定期的に仕事を振ることを約束するようなことは一切してもらわなくていいが、Maplatを中心にMaplatに関わってくれた人がみんな幸せになるようなエコシステムを作りたいので、全部でなくてもいいから、地図案件を受注すればその一部をMaplat協力者にマッピング発注して欲しい、ということを打診しました。
ところが彼らの返答は、「いや、まだambula mapはビジネスとして成り立っていないから、コスト削減のために内製でマッピングする、外注はしない」というものでした。
いや、ビジネスとして成り立っていないから協力しないというのであれば、Code for Historyの活動自体が別にビジネスとして成り立っていないのですから、てめえらの方こそ、こっちに「たりない機能開発してくれませんか?」「無償でやってくれませんか?」とか協力要請してくること自体おかしいだろ、つう話ですよ。
お互い金にならないところから始めてるんだから、金になってから協力体勢築くっちゅううんなら何一つ一切進まないわけで、金にならないところからお互いに望む方向性を目指して、お互いに利益になるところで協力し合うからこその協力体制なわけで、何自分の方だけ利益確定するまで何もしない、というのが当然のように思ってるんだっつー話です。

ましてや、全部のマッピングをこちらに回せと言ってるわけでもなく、一部を回してくれと言ってただけなんですよね。
コギト側もすぐ案件を受注できるわけではなくて、しばらくは費用持ち出しでコンテンツを増やしたりしないといけなかったと思いますので(Code for Historyが持ち出しでコンテンツ増やしてるのと同様)、そんなマッピングを外注すれば単純に赤字になるだけですので、そんなものまでMaplat協力者に発注しろ、なんて一言も言ってないわけですよ。
純粋に受注した案件のマッピングの一部のみ回してくれれば、その発注費用は個別受注に対する経費、変動費として計上できるわけですから、別に赤字にもならずに外注できるわけです。
具体的には、マッピング外注しない場合に案件の価格を地図1枚当たり20万円として想定しているとすれば、それを単価23万円にするだけで、マッピングを3万円で外注しても赤字にはならないわけです。
明確な競争相手がいる市場で、少しでも低く定価をつけないと負ける事業であればこれは呑めないかもしれませんが、この事業は明確に価格競争する相手などないような事業ですので、定価なんてある程度自由に付けられるわけで、20万円を23万円にしたからと言って受注を逃すケースなんてきわめてレアだとしか思えないわけですよ。
なんでこの極めて妥当な、モデレートな要求が拒絶されたのか、全く理解に苦しみます。

それでも百歩譲って、コギト側が本当にあらゆる面でコストを絞っていて、少しでも早く事業化するために尽力していたというのであれば、理解してやることもできなくはないです。
しかし、実際にはコギトは、ambula map事業にはどう考えても全く必要のないコストを固定費として、案件があってもなくても支払わなければいけない固定費として、毎月支払ってるんですよね。
何のことかというと、以下に引用したインクリメントP社の現代地図に対するコストです。

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(c) インクリメントP

ambula mapは古地図と切り替える現代地図として、事業として成り立たないのであれば無償で使えるOpenStreetMapあたりを使ってもよさそうなものを、インクリメントP社の商用有償地図を使っています。
このインクリメントPの地図は、私15年ほど前に個人で彼らの地図の商用利用を打診したので知っているのですが、当時「大負けに負けて勉強して」と言われ提示された額が「月当たり10万円」だったので、たとえビジネスになっていようがいまいが、ビジネス成立するまで待って無償で使わせてくれるような製品じゃないんですよね。
15年前の情報とは言え、価格が安くなってるとは考えにくいですし、ましてや15年前の私の打診は個人としての打診だったことを考えると、どう考えても最低でも月10万円、コギト社はインクリメントP社に地図の利用代金を支払っているわけです。
コギトは敵にしてもいいですが別にインクリメントP社は敵に回すつもりはないですから、別にインクリメントP社の地図の出来が悪いとかそういう意図では全くないですが、しかしことambula mapというソリューションに限って言えば、Maplatは必須のコンポーネントですが、インクリメントP地図は全く「それである必要はない」コンポーネントです。
事業が成り立たなくて困るならば、無償のOpenStreetMapに切り替えても全く困らない代物です。
にもかかわらず、必須コンポーネントであるMaplatの、しかも個別案件の変動費に追い込めるマッピング費用には一切金は出せないと言いながら、全く必要ないコンポーネントでかつ案件の有無に関係ない固定費をインクリメントPに払い続けているって、どう考えても「クレイジー」としか言いようがないですよね。
結局、格好をつけたい業界仲間の友人がいる他社には支払いしつつ、吹けば飛ぶような弱い個人は適当にあしらっておけばいいという、歪んだ虚栄心、あるいは、鼎の軽重をまともに評価できない低能がゆえに招いた状況なんでしょうね。

私が協力してほしかったこと(2):法人でなければ取り組めないような案件への取り組みに協力してほしかった

Maplatで行ういろんな企画のうち、まあたいていのものは(持ち出しになることを恐れなければ)個人でもアクションを起こせるわけですが、しかしどうしても法人格がなければ難しい(というか相手にしてもらえない)ような案件もあります。
まあいろいろ考えられるとは思いますが、1つはIP(著作権など、知的所有権)の絡む案件、もっとわかりやすく言えばアニメや漫画なんかとのコラボですよね。 アニメの聖地で聖地巡礼マップが作られたり、あるいはスタンプラリーが行われたりというようなケースはよくありますが、そういったものを活用するソリューションとしてMaplat(やその派生物であるambula map)を使ってもらおうと思うと、個人の活動では基本相手にしてもらえず、法人としてアプローチすることが必要になります。

こういった事例もいくつか打診して断られましたが、一番逃した魚が大きく、それゆえに私も一番コギトに対して根に持っているのが、群馬県館林市の事例です。
2018年の正月、群馬県館林を舞台にした名作アニメ、「宇宙よりも遠い場所」(通称よりもい)が放映されました。
後に単なるアニメを超えて、ニューヨークタイムスでその年のアメリカ以外全世界のテレビ番組の中の優秀作10本の中に選ばれるなど、世界的に評価された超名作で、当然私を含めた熱狂的なファンが、聖地館林を盛り上げようと、自分たちで聖地巡礼マップを作成したり、現地の人たちも聖地巡礼者をもてなすために様々な施策をうったり、また私もMaplatで館林街歩きアプリを作成したりと、とても盛り上がりました(というか現在進行形で盛り上がっています)。
またこれもとても偶然ですが、ambula map担当でコギトでの私の対向をしていた営業部長も、実は館林出身といった不思議な一致もありました。
ambula map自体が、その少し前に京都で聖地巡礼マップを使った聖地巡礼スタンプラリー企画をやっていましたし、また私自身が、古地図絵地図利用システムや位置情報ゲームといった分野では、もしそれらを専門にあつかった日本史があれば普通に業界の先駆者として名前が載って当然レベルの第一人者です。
これだけ勢いのあるコンテンツなら、そのうち公式の聖地巡礼マップが作られたり、あるいは公式の聖地巡礼イベントが行われるはずだから、今のうちにファンコミュニティに浸透しておけば、きっと数年後にはambula mapを使って、館林で聖地巡礼マップを使った聖地巡礼スタンプラリーなどが実現できるはず、だから一緒に館林で提案活動を行いましょう、ということを持ちかけました。

が、コギト社の判断はNo GOでした。
私はあきらめきれなかったので、個人でも館林観光協会の会員になったりと、なんとか館林で観光イベントなどが立ち上がるならば食い込めないかともがいてみましたが、ダメでした。
しかして2年後、やはり予想通り、館林ではよりもいの公式聖地巡礼マップが作成され、またデジタルスタンプラリーが開催されます。

が、当然のことながら、個人の立場ではどちらのアクティビティにも、私は1mmもかかわれませんでした。
双方のイベントに関係の深い位置情報ゲームや絵地図を扱う技術の日本の、いやぶっちゃけ世界の最先駆者である(前者は過去形だが後者はリアルタイムで先駆者)私が、作品の流行りだした最初期から現地に関わっていたにもかかわらず、双方のイベントに1mmも関われなかったこの悔しさと言ったら...!
しかも、私の技術を使ってくれれば、双方を別々のイベントにすることなく、巡礼地図を使ったスタンプラリーイベントにだってできていたのに!
今に至るまで悔しくて仕方ありません。

コギトもアホですよね、少し先行投資して最初から盛り上げに関わって、かつ繰り返しアタックしていれば、今頃これだけの名作アニメのイベント実施実績取れて、またそれを梃子にコンテンツツーリズム協会なんかにも伝手ができて、他のアニメの聖地なんかにも事業展開できていたでしょうに。
またその先行投資自体、提案を持ちかけた私自身が強いこのアニメのファンで、採算度外視で何度も現地を訪れて活動したりしているのですから、それをうまく使えば情報収集なんかはコスト使わずに私の持ち出しで任せたりもできたわけですから、別に誰も思い入れのないアニメに営業かけるよりはよほど安上がりに先行投資を済ませられたでしょうに。
だいたい、別に運命だのオカルトを信じるわけじゃないですが、館林が舞台となったアニメに一緒に提案しませんか?と持ち掛けた会社の担当が実は偶然にも館林出身だったとか、そういうすごい偶然が重なるようなときは、大体流れが来てるのでよほど致命的なリスクでもない限り基本「行ったれ!!!」という時ですよね。
そういう流れを読めずに突っ込むタイミングを見誤るあたり、基本商売下手ですよねこの会社。

これ以上付き合っても益なしと考え、引き出せる金を引き出して損切り

オープンソース技術者にクローズソースの開発を強要したり、お仲間の会社にはムダ金支払うのに個人相手にはビタ一文払いたがらなかったり、挙句の果てに無償協力をせびる割にはこちらの要請には契約書にないことを盾に一切協力を拒まれたり、完全に弱い個人相手だということで舐められてました。
こんな会社に自発的に協力してくれることを期待してこちらの協力をつぎ込んでも疲弊するだけなので、差し引き大赤字なりに最低限引き出せる利益を分捕ったうえで関係を断って損切りするのが賢いわ、と思うようになりました。
何をやったかというと、1996年ごろにGIF特許でフリーソフトでも特許料を請求されるという騒ぎがあったと思いますが、あれと同じ知的財産使用料請求をコギト社に対して行ったのです。

Maplatは、私が取得した特許技術の上に成り立っています。
が、それは基本的にStrolyからのスラップ訴訟の恐れに対する防御手段として取得したもので、Maplat利用者にとってもこの特許の存在によってStrolyからイチャモンをつけられる危険性から守る役割をするもので、基本的にオープンソースの利用者に特許料を請求するつもりはありません。
特にバージョン0.4.0以降は、明確に後から特許料を請求するようなこともしない条項を加えているApache 2.0ライセンスに変更していますから、利用していて突然ある日以降私から特許料を請求されるというようなことはありません。
しかし逆にいうと、MITライセンスだったバージョン0.4.0より前は、その辺についての扱いが不明確でした。
まして当時のコギト社においては、そもそもオープンソースではなく私に強いて作らせたクローズソースを利用していたわけですから、さらに輪をかけて特許の利用権に関する扱いは不明確でした。
コギト社と結んだ契約書においても、ソースコードを作成する契約は結んでいますが、特許の知的利用に関する条項は一切ありませんでした。

そこでその間隙を利用して、私はコギト社に、特許の無償利用条項のあるApache2.0 ライセンス以降のオープンソース版に実装を切り替えずに、クローズソースを使い続けるのならば、遡って特許の利用料、知的財産利用料を払えと要求し、払わせることに成功しました。
GIFの特許料請求騒ぎも散々世の中から批判されていますから、正直言ってこんなやり方そこらの特許ゴロと同じなので、褒められたやり方ではないのはわかっています。
しかしながら、弱い個人に付け込んで、一方的に協力を搾取して自分の方からは一切協力しない企業相手に、縁を切る前に最低限の対価を支払わせるための武器としては私には知的財産しかなかったですから、仕方なかったと自分では思っています。
それにしてもバカバカしいのが、オープンソース版に切り替えないといけないとわかった途端、コギト社が「クローズソース版からオープンソース版への切り替えは簡単に行えますか?」と尋ねてきたことでした --- アホか!お前らが頼むからそんなことさせないでくれと頼んだにもかかわらずクローズソース版を作ることを強いてきたから、こちらは苦労して全然違うやり方でオープンソース版を作ったんだろうが!
今更「クローズソース版からオープンソース版へは簡単に切り替えられますか」とか聞いてくるんじゃねーよ、お前らが難しくさせたんだろうが。

最後に:まあぶっちゃけ悪いのは営業部長だけなんだろうけど

以上がコギト社と縁が切れるまでの間にあったことの顛末です。
いや本当にバカだと思いますね、個々の私に対する舐めた対応は、エコシステム構築に協力しなかったことにしても無償協力を打診してきたことにしても、全般的に私への協力を渋ってきたことにしても、営業部長が「少しでもコストを減らしたりできる可能性にはまず打診してしまうのです」と言ったように、ミクロな視点で得をするために行った行動選択だったのだろうと思いますが、
それが積み重なることによって私を怒らせて、事業に必須の技術の保持者である私がせっかく協力的だったのを敵対状態にまで追いやってしまって、結果事業の未来の可能性を自分で摘んでしまうというマクロ視点で多大な損をしてしまっている。
いや実際、心臓部の技術であるMaplatの協力を得られなくなっているambula mapに、将来はないと思いますよ、地図データを作成するエディタもライブラリも私の開発物におんぶ抱っこだから。
たとえば最新のMaplatってむちゃくちゃ進化してますが、それらの機能はambula mapしか今のところ顧客がいないiOSAndroidスマホライブラリには反映してないから、ambula mapは享受できません。
まだ最新版出していませんが、もうすぐ出る予定の最新版MaplatEditorも、大量の地図の管理機能が進化していたりとむちゃくちゃ進化していますが、そもそもデータファイルの仕様が変化してるので、最新のMaplatEditorで編集したデータはambula mapの古いライブラリだと動作しません。
よってambula mapは、新しい機能や新しいエディタにはアクセスできないまま、古いツールを使い続けるしかありません。
もちろん、別にスマホライブラリ更新しないの、ambula mapに技術渡らないようにしているだけじゃなくて純粋に開発能力の手が回ってない面もあるので、ambula map以外に友好的なスマホライブラリ利用者が現れてくれて適切な資金が入ればいくらでも更新しますけど、そうならずにambula mapしか利用者がいない限りは永遠に今のままなので、その場合ambula mapはいつか動かなくなる古いライブラリに頼り続けるしかない状況です。
iOSAndroidがOSバージョンアップしてライブラリが動かなくなった途端、突然事業を中断せざるを得ない危険性に常にさらされているわけです。
どれだけ顧客得ようが、開発者を虚仮にして怒らせて非協力どころか敵対関係にある限り、何をひっくり返してもambula mapに将来はないわけですね。ざまあみろ。

ただまあ、ぶっちゃけわかってるのですけど、コギトという会社全体が弱い個人に対して舐めた態度をとる悪癖があるわけではなくて、悪いのは私の対向をしていた営業部長だけなんでしょうけどね。
ambula mapが顧客とインタビュー形式の記事を書いているこちらの記事でも、その営業部長がむちゃくちゃ舐めたことをのたまっていますが、

日本は合議制の採択、というのが社会常識として広まっていますからね。日本人は個性を押し出すのが苦手な部分がありますが、これから2020年の新しい時代に向けて、ちょっと変だと思われるくらいの主張をしていかないと、本当に大切なことを見失ってしまうような気がします。

いやお前、個人と企業の双務的な協力関係で、組織の論理を振りかざして一方的に協力させて搾取した挙句、それに対する異議申し立てを封殺してきたお前が、何を「個性を押し出すのが苦手な部分がありますが...ちょっと変だと思われるくらいの主張をしていかないと、本当に大切なことを見失ってしまう」とか抜かしとんねん。
ここまでいくと、もう異常人格、サイコパスを疑わざるを得ない状況ですね。

正直、先にも書いた通り悪いのはこの営業部長一人だと思ってるので、この営業部長がambula map担当から外れたうえで、真摯に同社が過去の扱いについて謝ってくれるのであれば、別に協力関係を復活させてもいいとは思っているのですが、まあそのようなことはないのでしょうね。
なので、恨みつらみ以前に敵対している限りは同一の見込み顧客を取り合う商売敵でしかないですし、まともに機能改善を反映できない時点で市場でもStrolyと同様に時代遅れ、陳腐化したゴミソリューションでしかないわけですし、顧客の幸せのためにも、さっさとambula mapは潰れて市場から退場してください。

Strolyに将来がない根源的な理由

以前から私は、2018年8月の財務状況とそれまでの投資状況から、2020年秋にStrolyに財政危機が来るのではないかと予測していて、そしたら案の定2020年10月に追加投資3000万円を得ていたので、するとまあ数ヶ月は延命できるので、次の危機は2021年初頭1月~3月あたりと予測していたのですが、またまた案の定、この時期に投資獲得を見据えた動きを始めてきたようです。
これに乗って、私を追い出した後8年以上まともなイノベーションを起こせていない会社にまた延命に削るだけの金をつぎこむ愚かな投資元があるのかどうかは知りませんが、彼ら、前身のATR-Promotionの一事業部だった時代*1から、本業だけでは完全に赤字のところを行政の補助金などに取り入って、それもつぎ込んだうえでギリギリの年間10万円黒字などの体裁を整えるのだけは異常にうまかったですから、泣きつく先が行政の税金から投資家の投資マネーに変わっただけで、まあそういうのはお手の物なのでしょう。
これでまた億単位の投資が得られれば、1年/億円で延命だけしてズルズルいくんでしょうね...調査能力に劣っていてまともな投資先を見抜けなかったのが自業自得とはいえ、投資を削られる投資元はたまったもんじゃないと思いますが。

でもまあ、いくら延命したところで、Strolyの商売には100%先がないんですよね。
もちろん、彼らが追加で投資を受けて、その投資で起死回生の全く新しい分野で何かを開発して、事業転換に活路を見出すならば、成功の可能性はあります。
が、彼らが既存技術の上にビジネスを構築することに固執した場合、100%先はない。
その理由が、Strolyの共同CEOの高橋真知さんにインタビューをしたGoogleのTim Romeroさんと、私が彼のブログの上でコメントを交わしたやり取り如実に出ています。

Tim Romero Hi Kohei,

Thanks for listening.

I don’t understand the technology well enough to judge how difficult or novel the approach is. However, there do not seem to be other companies in the market with similar technology, so probably either their patent protection is strong or this is a very hard problem. Good luck with your own project. The more people in the market innovating and creating new things, the better.

Tim

Kohei Otsuka Hi Tim,

However, there do not seem to be other companies in the market with similar technology, so perhaps either their patent protection is strong or this is a A very hard problem.

Or maybe Stroly and I just think it’s worthwhile, but it’s actually just not very worthwhile technology. LOL

Since Maplat is my technology, and more than half of Stroly’s patents are my inventions, I’m practically the only person in the world who is innovating around this technology, so maybe it’s not really a problem for anyone.

Kohei

日本語訳:

ティム ロメロ こんにちは恒平さん、

読んでくれてありがとう。

私は技術の難しさや取り組みの新しさを十分に理解できるほどには、技術をよく理解してはいません。しかしながら、市場で同様の技術を扱う他社がないことから、多分、彼らの特許が十分に彼らを守っているか、あるいはとても難しい技術なのだろうと思います。あなたのプロジェクトの幸運を祈ります。多くの人が市場でのイノベーションや新規開発に取り組めば、状況はよりよくなりますから。

ティム

大塚恒平 こんにちはティムさん、

しかしながら、市場で同様の技術を扱う他社がないことから、多分、彼らの特許が十分に彼らを守っているか、あるいはとても難しい技術なのだろうと思います。

もしくは、Strolyと私はこう言った技術を価値があると思い込んでいますが、しかし実際には単に価値のない技術だったという可能性もありますね。(笑)

Maplatは私の発明ですし、大半のStrolyの特許もまた私の発明なので、実質、全世界で私だけがこういった技術についてイノベーションをおこしている人間になります。なので、実際問題他の人にとっては価値のない、たいした問題ではないのでしょう。

恒平

いや、実際、古地図を歪ませずに扱う技術が世の中に実質StrolyとMaplatしか存在しない*2のは、論理的に考えて以下の2点しか考えられないでしょう。

  • Strolyや私のMaplatの特許が強力すぎて、他社が参入する隙がないため独占できている
  • 単に価値がない技術だからだれも参入しない

まず後者の場合、もしこれが真だとすると、StrolyやMaplatには普遍的な価値は何もないという結論になってしまいますが、別にこういう結論でも私は全く困らないんですね。
他者にとっては価値のないことでも、私にとっては面白くて価値があることを、個人のお小遣いと余暇の範囲で、勝手に追及しているだけの話ですから。
もちろん、その趣味が実は価値があって、将来的に大きなお金に繋がった、という方向性になった方が嬉しいのは嬉しいですけど、一生趣味で終わったとしても個人的には一向に困らない。
それに引き換え、Strolyにとっては、この結論は地獄です。
既に5億円の投資を受けてそのリターンも要求され、20人からの従業員を今後も雇用を保証する必要があり、なにより創業者自身がなけなしの私財を投入してしまっている。
それだけ賭けた事業分野が、社会的には何の価値もないという結論だと、これ悲惨ですよね。

前者の場合、StrolyやMaplatには本当に価値があることになりますが、ここで注目すべきなのは、Strolyの今の事業の礎になっている特許の大半*3も、Maplatの特許も、ともに発明者は私だということです。
つまり、仮説に従えば世の中的に価値のある、でも他社が参入できない強力な特許の発案者は、事実としてこの分野では全世界70億人を相手取っても私1人しかいないという状況になります。
その前提で、既に性能の面ではStrolyはMaplatに大きく差をつけられているわけですが、全世界70億人を相手にしても私しか発明者がいない分野で、どうやってStrolyの現社員はせいぜい20人しかいない状況で、今後技術的に挽回することが見込めるでしょうか?

もちろん、ビジネスは技術+ビジネスモデルなので、技術的には陳腐化していても、ビジネスモデルがしっかりしていれば生き残ることはできます。
しかしながら、Strolyはベンチャーであって、潤沢な資金が背景にあるわけではありません。
ビジネスモデルは技術と違い、特許などで守られる範囲がとても限られていますから、うおっ、これむちゃくちゃ儲かる?と思うようなビジネスモデルが明らかになれば、必ず他社が参入してきます。
ある程度大きな会社同士でしたら、お互いに適度に資金を投じて適度に殴り合って、お互いに適度なシェアを取り合って痛み分ければOKですが、Strolyは大会社から見れば吹けば飛ぶようなベンチャーですから、いいビジネスモデルがある、参入しようと思われたら一瞬でつぶされます。
そんな時に、いいビジネスモデルを構築しても他社に、特に大手に参入させない、あるいは大手が対抗参入するよりも既存ベンチャーを買収しよう、と思わせるような条件は以下の2つくらいしかありません。

  • 特許などに守られた絶対に真似のできない高性能の技術で参入を防ぐ
  • 技術そのものは陳腐化していても、圧倒的な先行データ収集量など先行者利益で追随させない

前者については、既にStrolyよりはるかに高性能なMaplat技術が、しかもオープンソースで存在することで、Strolyのビジネスモデルに価値を感じた他社はどこでも、より高性能の技術基盤をベースにして真似できる状況が存在します。
もちろん、StrolyにMaplatより優れている部分が全くないかというとそうでもなく、再度MaplatとStrolyの比較pdfを参照しても、誰でも簡便に使えるWebエディタなど、Strolyが優れている部分も存在はしますが、しかしそういったStrolyのMaplatにない売りの部分は、全部「労働集約すれば解決できる」類の優位で、5億円の投資を受けて20人のフルタイム従業員がいる技術と、年間100万円程度のお小遣いで1人が余暇で開発している技術の間で、こちらにしかない優位と誇っても仕方のないレベルの優位しか、本当にStrolyにはありません*4
彼らの優位は、Strolyと同レベル以上の投資があれば、3ヶ月で解消できるレベルの優位でしかないのに対し、逆にMaplatのStrolyに対する優位は、きちんと特許で守られていたり、あるいはこの分野で実質的イノベーションを行っているのが私一人という、確固とした裏打ちがされています。
もしStrolyのビジネスモデルに価値があって儲かることが証明されたとしても、Strolyの陳腐化した特許が彼らのビジネスを守ることも買収を誘発することもありませんから、大手資本がStrolyを買収するよりはるかに安上がりかつ高性能なMaplatを使って次々参入し、資金力で劣るStrolyは打ち負かされて日の目を見ることはないでしょう。

後者の圧倒的先行者利益についても、とてもお粗末なものでしかありません。
Strolyの検索トップページを見てください。
そこには、最近追加、更新された地図が新しい順にページネートされて並んでいますが、1ページあたり24枚の地図が並んでいます。
すなわち1ページ目の最後の地図は、最近Strolyで更新された24番目に新しい地図ということになりますが、2021年1月31日現在、この24番目に新しい地図の更新日は11日前です。
これはつまり、Strolyを使ってユーザが地図を編集して公開している量が、1日当たり2.2地図程度しかないということになります。
非公開の地図などもあるでしょうから極論かもしれませんが、とはいえ、公開では1日2地図しか編集されていなくても、非公開併せれば1日1000枚更新されているんだ!ということにはまあならないと思いますので、オーダー的にはその程度のものでしかないのでしょう。
あるいは別の視点で、日本第二の都市である「横浜」を使って検索してみると、もちろん関連度の高いものから優先表示されますが、目視で判断して横浜と関係ありそうな地図はたったの15枚しかありません。
日本第2の都市で、検索結果1ページ分すらないのは驚きです。
これで、後発業者が、「Strolyは既に大量のデータを持っているから、参入しても勝ち目がないからあきらめよう」あるいは「大量のデータを入手するために、買収しよう」などと思うでしょうか?

技術が陳腐化して既に特許に守られていない点でも、先行者利益がほとんど皆無である点においても、Strolyはまずビジネスモデルが成功するかどうかわかりませんし、そして仮にビジネスモデルが成功しても、大手資本の追撃参入に対して防御手段が全くないという点で、成功する要素はゼロです。
もちろん、企業は大きく成功することだけが最終ゴールとは限りませんので、陳腐化した技術しかないなりに、大きく成長しもしない代わりに潰れもしない、なんとか従業員の雇用を守っていけるだけの、ギリギリの限界企業として生き残る手も当然あります。
その中で、ATR-Promotionのころにやっていたように、また行政の補助金をもらいながらなんとか黒字を維持するという選択肢もあるでしょう。
が、引き続き投資を受けるというのは、倫理や道義に反するように私は思います。
投資を受けるということは、もちろん保証はできないながら、爆発的な成功や大きな買収で企業価値を高めてExitを目指す方向を投資家に約束するというのが筋でしょうから、最初から成功や買収されるために自社ビジネスを防衛する手段が破綻している状況で、さらなる投資を募るというのは、法的にはよくわからないですが、倫理的道義的には限りなく詐欺に近いやり口ではないかなと思います。

若干手前味噌になりますが、Strolyがそれでも成功を目指したいならば、取り得る方策は既に技術的に陳腐化したStroly技術を技術のエンジンとして使うことを止め、より高性能のMaplat技術をエンジンとして作り直すことです。
これであれば、Strolyのビジネスモデルを他社が真似をしようとしても、陳腐化した自社技術にこだわっていれば、より優秀な技術が外にオープンソースであるのだから、大した先行者利益もないし買収するよりはMaplatを使って対抗ビジネスを作ろう、という形になりますが、同じ最新鋭のMaplatを利用しているのならば、別途ビジネスを構築しようとしても使う技術精度は同じだし、多少とはいえ先行者利益はあるのだから、自社構築するより買収しよう、という力学が働くことも十分にあり得ます。
多分これ以外に、Strolyが大きな成功を目指しうる選択肢はないと思いますが(あるいはこれまでの技術を捨てて全く新しい分野に新規参入するか)、この提案については、私はStrolyを解雇される際の道義にあわない理不尽なやり方に抗議する意味で基本的には反Strolyの立場を貫いていますが、一方で並行して、そちらが手を繋ぐ意思があるのであればこちらも結ぶ手を出しますよと、2年以上前からStroly経営陣には何度も提案しています。
それを無視して、一方的に私に対して敵対的対応を行っているのはStroly経営陣側ですので、その点は皆さんに知っておいて欲しいと思います。

余談ですが、Stroly社員の中には、私がStrolyに(Stroly側が解雇時の非道を反省し、敵対対応を止めない限りは)反目しているものですから、私をStrolyの敵と考え、それこそStrolyが潰れでもすれば私のせい、と思ってる人もいるとは思いますが、ところがどっこい、過去だけでなく、今に至るまで、私ほどStrolyを実際に救ってきたし、この先も救おうとしている人はいないのですよ。
元々単方向の座標変換しかできなかったStrolyを、双方向変換や方角縮尺、疑似連続/1対1写像の概念を定義して、まともな事業ができる技術を整備したのも私ですし、また、2012年初頭のStrolyの当時の親会社が赤字で経営危機に陥った時に、そんなに経営が大変ならば、事業を守るために私が外に出て人件費圧縮に協力してもいいですよ、と自ら提案したのも私です。
ただその際、自ら辞める条件として、古地図を扱う技術自体は一生かけて取り組みたいと思っていたものですから、社外に出ても一緒に開発を続けられることが条件、Strolyの外には出ますが私の発明であるStrolyの技術開発については引き続き一緒にできることを条件として辞める提案をした(もちろん、条件を飲まないのならばやめる意思はなかった)のですが、それを反故にして、辞めると言ったんだから辞めろ、でも外部の人間に技術に関わらせるなどあり得ないとして一方的に解雇したのがStroly社で、その非道がしこりになっていまだに私とStrolyの反目状態が続いています。
が、いずれにしても、Strolyの経営が悲惨だった時に、友好的か敵対的かは別として私をはじめ何人かが外に出たことで人件費が圧縮され、一時的にStrolyの経営は改善したはずなのですから、私はStroly社員に感謝されこそすれ、敵だとみられる筋合いなど本当はないはずなのですよ。
もちろん、その後私はMaplatを作り、対抗技術、ソリューションを持ったことで単に理不尽への感情的反感だけではなく、事業的?にもStrolyと敵対していく形になりますが、それは一生をかけて開発するつもりだった技術を理不尽に奪われた側からすれば当然の行為ですし、それを作ったことをStrolyへの敵対行為だと言われても知らんがなとしか言いようがないですし、というかそもそも、Maplatの元になっている原理は、私のStroly社在籍期間中に、改善パワーアップするStroly 2.0としていずれ開発しましょう、ということで社内でも内定をもらっていた原理なのですよ。
もちろん、原理の方向性は決まっていたものの詳細や実行方法は決まっていなかったので特許などは出していなかったし、そのおかげでStrolyを解雇されても社外で形にできたわけですが、その意味では、Stroly経営陣がまともに筋の通った経営さえ行って、人を怒らせるような人事、技術戦略経営をしなければ、MaplatはStrolyの対抗技術、脅威になるどころか、パワーアップしたStrolyになっていて、Strolyのビジネスモデルを守る盾になっていたはずだった技術なわけですよ。
そのチャンスをみすみす逃したStroly経営陣の愚かさは、特筆されるべきだと思います。
また今も、技術が陳腐化してビジネスモデルを守る盾がないStrolyに対し、一方では反目しつつも、もう一方で、そちらが手を結ぼうとするのならこちらも手を出しますよ、という逃げ道も同時にずっと提案しているのが私の方であり、それを面子なのか何なのか知りませんが、一方的に無視しているのがStroly経営陣側なわけですよ。
いったい、Stroly経営陣と私と、過去から今に至るまで、どちらがStrolyの雇用を守り、またStrolyへの投資家の利益を守ろうと考えているんですかね?
面子だの体裁だのにこだわって、今のところ世界唯一のこの分野でイノベーションを起こせる人材を怒らせて手放し、わざわざ脅威を育てて経営を脅かし、その一方で大人としての落としどころも並行して示しているのにそれも無視し続けるという、Strolyの雇用や投資家の利益を守る意味では間違った選択をし続けているのはどちらなんですかね?

*1:ここに書いているとおり、正確には、私はStroly社に在籍したことは一度もなく、Stroly社の前に同事業を運営していたATR-Promotionに在籍していました。が、いちいちStroly社の前身であったATR-Promotion社は...などと書くのは煩雑ですので、特に両者を分けて書く必要がある場合を除き、以下の文章は基本ATR-Promotion社時代について書く場合でも、Stroly社として書きます。

*2:実は、他にもあるのはあるのですが、かつそれらの技術は精査するともしかしてStrolyやMaplatの特許を侵害している可能性もあるのですが、私は特に問題にせず、むしろ反Strolyの戦列に加わってもらったりしています。私が興味あるのはStrolyを抑え込むことだけで、特許もそのための手段として取ったのであり、権利を振りかざして周りを従わせるためではないので。

*3:Strolyの原特許と、私の拡張特許はともに1件ずつなので、単に特許の件数では大半を名乗るのは問題がありますが、Strolyの原特許は単に順方向の座標変換を定義しただけのものに対し、私の拡張特許は逆方向変換、縮尺や方角の概念の導入、連続変換や1対1変換が成立しているように見せかけるパッチ的技術など広い範囲を網羅していますので、カバーしている範囲的にStrolyの事業が今のように成立できる礎となる特許はほぼ私の特許と言って間違いはありません。なお、余談ながら、Maplatの特許は、1特許でStrolyの原特許、拡張特許にあたる範囲を全て網羅し、より簡便な方法でより高い性能を出せる手法の特許になります。さらに余談ですが、Strolyの原特許は連名での発明者になっていますが、そのうち現共同CEO以外のもう1名も今はStrolyを辞め、反Stroly側の立場に立っています。

*4:その他にも、最近ショボいながらイノベーション?らしきものを起こしたStroly LABも、StrolyだけにあってMaplatにはない機能です。よくStrolyが宣伝文句で謳っている、利用者の利用傾向分析なども、MaplatにないStrolyの売りの一つでしょう。しかし、それらも本文中に書いたのと同様、十分な資金があれば3ヶ月で優位が崩れるレベルでしかありません。Stroly LABなどは、確かに実装ではマンパワーが必要なため先行されていますが、元々のアイデアは、私が2012年には発案し、2017年にはブログ記事にまとめていたアイデアときわめて類似しています。この点でも、この分野でのイノベーションは私にしか起こせない(普遍的価値の有無は別として)、ということの、逆に証拠になっていたりします。利用者の利用傾向分析などは技術だけでなく、内部社員のコンサル力量なども影響しますが、そういったコンサルのマンパワーこそ投資が効いてくる部分で、潤沢な投資があれば、優秀なコンサル要員などNRIだのアクセンチュアクラスには優秀な人がたくさんいます。顧客への戦略的分析レポートを提供する人材を年収380万~550万円程度で揃えている会社に、まともな先行者利益があるほどのノウハウ蓄積があるとは思えません。

保守を自認する方こそ率先して、covid-19の特別定額給付金は全て寄付に回して欲しい

時期逃してもう半月前の話題ですが、covid-19での1人10万円の特別定額給付金が7月の上旬、8日にようやく私の口座にも家族分振り込まれました。

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相模原特別定額給付金振り込み

それを受け、家族には家族の分を渡して、自分の分は全部あしなが育英会への寄付に突っ込みました。

www.ashinaga.org

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あしなが育英会への寄付

あしなが育英会を選んだ理由は、こういう社会全体が危機に陥っているときに真っ先に影響を受けるのは「貯金」や「頼れる家族」といった「社会的溜め」がない人たちなので、それかつ子供でもある遺児学生を支援しようと考えたのと、まさに当のあしなが育英会が、そういった子供たちの支援を迅速に、国の定額給付などよりよっぽど早く打ち出したからです。

www.ashinaga.org

さて、寄付したよ!とわざわざ書いたのは、いい人でしょ褒めてとかいうためではないです。 そうではなく、これからこの記事で他の人にも寄付を呼びかけるので、ちゃんと呼びかける以上いの一番で自分はやってますよ、というのを示すためです。 呼びかけます。 「今回の定額給付金、特に日々の生活に困ってない人は、国内への寄付に回しませんか?」 明確にcovid-19後収入が減ったなどで(あるいは減ってなくても、もともと苦しいなどで)、家賃の支払いだの日々の生活費だのに回さざるを得ない人はそうすべきだし、元々そうするための給付金なわけだけど、特に生活に困ってなく、給付金?パソコンでも買い換えるか?趣味に回すか?とかが利用用途の人は、この際寄付に回してみませんか?

もともと定額給付金は個人に付された権利なので、どう使おうが個人の勝手だし、ましてや地方自治体など団体単位で定額給付金を寄付しろ、などとほぼ強制の吸い上げに「寄付」という言葉が使われた経緯などを考えると、リベラルとしては定額給付金の寄付は言い出しにくいんだけど、それでもこの給付金が決まった経緯を考えると、そうあって欲しいと思うのです。 特に、普段リベラルではなく保守としての立場を標榜している人は(理由は後述)。

本来、危機に当たって、社会から支援を行うならば、本来は「一律に同額支援する」よりは、「困っていない人には支援しない、その分困っていない人に倍額支援する」方が理想的ですよねーーそれが技術的に可能であるならば。 が、実際のところ、社会の仕組みって、何かがあったからといって適切な線引きを、コストも時間もかけずに簡単にできるような形にはなっていない。 たとえば給付先を絞るなどして何かのコストを減らすのに、その給付先を絞る条件などを一人一人調査してフィルタかける事務処理にかかる金銭的、人的、時間的コストが、そのことで減らせるコスト以上にかかりかねないのがこの社会の実態です。 なので、その中でも特に時間的コストを重視して、とにかく今は明日にでも少し入金があれば首吊らなくて済む人も一人でも増やせる状況なのだから、とにかくスピード重視で万人に今すぐ政府支援を、というのが、与党の言っていた制限付き給付に反対して、一律給付を要求してきた野党やリベラルの主張の根拠*1。 あと別の視点として、影響度の深刻度の差はあれ、この国(この世界!)に住む市民全員が巻き込まれている災害に対し、安易に支援する、支援しないの線引きをすると、困ってないのに単に手続き上の分類で支援対象になった人、むちゃくちゃ困ってるのに線引きの外になった人などが出てきて*2、民衆の間に分断が発生してしまいます。 その辺のことを考慮して、私も含めた野党やリベラルは、条件なしの一律給付を主張してきましたし、結果採用された政策も条件なし一律給付となりました*3

という経緯ではあるものの、他のリベラル勢はわかりませんが少なくとも私は、(そんな手段はないのでリアリズムに徹すれば条件なし一律給付にせざるを得ないものの)誰もが納得して、かつ金も時間も人的にもコストがほとんどかからない形で困ってない人と困窮者の線引きができる手段があるならば、本来は「一律に同額を配る」よりも「困ってない人には配らない、困っている人には多い額を配る」形であるべきだと思っています。 なので、今現在できる救われるべき人を素早く漏れなく救うための施策の副作用?として、別に困っていない人にまでお金が回っていますが、私は本来はこのお金は困窮している人に回るべきだと思うし、しかし本当に困窮しているかどうかは極論当人にしかわからないので、自分の判断で自分は困ってないと思えば寄付に回して欲しいです。 ただでさえ日本では寄付の文化が根付いてないと言われるので、この機に、別に自分で稼いだ金じゃない*4棚からぼた餅、なくても惜しくはないお金を寄付に回す練習をするところから始めて、寄付の文化が日本に根づけばいいなあと思っています。 自分で稼いだ金じゃなくても寄付に回せば、寄付先が認定NPOであれば証明書がもらえますから、ちゃんと税金還付には使えます。 ぜひこれまで寄付したことがない人も、この機に寄付の練習してみて欲しいと思います。

最後に、なぜ「保守」の人こそ寄付して欲しい...という書き方になったか。 日本には寄付の文化が根付いていない、と書きましたが、単に本などで読んだだけの出羽守になりますが、欧米ではノーブレス・オブリージュの考え方があり、困窮していない人は困窮している人を寄付などで支えるべきという考え方が、政治的な保守、リベラル関係なく存在していると聞きます*5。 政治的な立場を超えて、恵まれない人も救うべきという価値観は共有されている、その中で保守とリベラルの違いは、保守はそのような弱者救済は恵まれた個人の篤志に任せておけば良いと考えているのに対し、リベラルは社会がきちんと弱者をできるだけ大きく網を張って助けるベースラインを作るべきだと考えている点が違うだけのようです。 弱者救済を個人の篤志に任せると、結局その篤志に運良く出くわせることができた運の良い弱者だけが救われることになる、そうではなく、運の良い悪い関係なく、できるだけ広く均等に救われるように、社会そのものが安全装置を持っておくべきだ、というのがリベラルの考え方だと思います。 なので、リベラルだから国が弱者保護をすべきと主張しているから、本人は寄付などをしていないというのは全く違うし、逆に保守だから、国が弱者保護すべきでないと主張しているから、本人も弱者保護に興味がないというのも少し違うらしいと理解しています。

ところが、寄付文化の根付いていない日本では、弱者を救う制度を国に作るか作らないかという保守とリベラルの議論は、そのまま弱者を救うか見捨てるかという議論になってしまいます。

note.com

この記事でも、困窮している人を自己責任とする論者の割合は日本がとても高くて38%。 これ、いくらなんでも酷薄すぎないですか? 和の国、美しい国、支え合う絆の国、おもてなしの国はどこにいった? 保守を自称する方々、弱者を支える制度の創設にやたら反対するなら、せめてその代わりになる自分たちでの寄付くらい、バーンとやって欲しいと思います。 ましてや、2つ前の記事で言及したような、安倍政権が世論に押されて採択するまで、無条件支給を乞食だの共産主義だのと言ってたような自称保守の人たち、まさかその自らが言った乞食のように、もらった金をそのまま自分の好きなことに使ったりしてないですよね? 弱者を救うために寄付に回してるか、最低でも国庫に返上してますよね*6? 保守の方々、弱者を能動的に救わなくても経済が回れば弱者は救われるという論点でずっと来られたのでしょうが、covid-19で経済を回したくても回せない社会が現実となった今こそ、弱者は救うべきという基本理念は一致させた上で、国が広く基礎を固めるか、個人がバーン!とやることで国が出なくてもよくするか、というところで議論しませんか?

*1:実際には、無能な政府のせいで、スピード最優先で条件なしにしたにもかかわらず、支給までに3ヶ月以上かかってるような体たらくですが...条件なしでこれなのだから、条件付き施策にしていたら、いつまでかかったやら...。

*2:実際、与党の制限付き条件案が出ていた時も、この制限案だとほとんどの人が引っかからない、と批判されていました。

*3:その他にも、世帯にではなく個人に給付しろ、などいろいろな論点がありましたが、そういったところは押し込み切れず政府案の通り世帯配布になったりもしています。

*4:まあ、原資は我々の税金なので、社会の危機に応じて我々の元に戻ってきただけではあるのですが。

*5:もっとも、欧米でも日本のネトウヨのようなAlt-Rightの勢力も現れてきているので、そういう人たちがノーブレス・オブリージュの概念を持っているかはよく知りませんが。

*6:個人的には、弱者を支えることにお金が回る保証がないので、返上は愚策でもらって寄付に回すのが最善と思っています。が、国から給付金が出ることを乞食などと言っていた人たちなら、筋を通すなら返上が当然だと思います。

世界の先端地理技術開発者の間では普通にH3やS2が使われていた

先日、私と弊社の開発者1人と、弊社ではないのだけど、関連会社で世界有数の位置情報技術会社の研究者1人とでSlackしてたのだけど。 ちなみにその研究者は、前職も世界有数の位置情報会社*1だった人だ。

研:「うちの会社の位置情報データベースシステムは、インデクシングにH3タイルシステムを使ってんで」

へ?H3って、あのUberが開発した、全球を網羅できる六角タイルシステム?

eng.uber.com

qiita.com

マジか...2年ほど前に紹介された時、むちゃくちゃ面白いけど、タイルの並ぶ方向が東西南北に関係なくなるなど直観的に理解しにくく、使いどころが難しいなあと思いつつその後利用法を特に考えてこなかった仕組みだ...。

開:「クールやな。なんで他のインデクシングじゃなくてH3使ってんだ?」

研:「ようは知らん。でも、H3にはむちゃくちゃいろいろ利点があるからな」

開:「せやな」

研:「いろいろビジュアライズする際にも、H3の世界のどこでもほぼ同じタイルサイズというのが使い勝手ええんやろ」

開:「わかるわかる、おもろいな」

研:「せやけど、個人的にはS2タイルの方が好きやねん」

S2タイル?なんか聞いたような記憶はあるけど忘却の彼方や。ググってみるとこういうのが引きあたる。

s2geometry.io

これ?

研:「それやで」

うわ、これまた地上での表現がどうなるのかわかりづらいシステムやな。読んでみると、H3が全球をサッカーボールに投影するのと同様に、S2は正六面体に投影した結果をタイル分割しているっぽい。必然的にこれもタイル分割の境界は東西南北に関係なくなるだろうし、全くビジュアル的に想像つかんわ...。

研:「地上にエリア描いたら、それを内包するS2タイルで埋めてくれるサイトがあるから、それ使ってイメージしてみたらええで」

s2.sidewalklabs.com

研:「あと、S2をビジュアルグラフこみで説明してるこのブログも読んでみたらええわ」

blog.christianperone.com

すごいなあ...極東で頭が固まったおっさんが、イメージ想像しにくいからと平面地図ベースでのタイルシステムまでで思考停止している間に、世界では普通に全球タイルシステムに移行していたのか...。 旧世代には直観的に想像しにくいタイルでも、新世代の人たちは華麗に使いこなしていくのだなあ...。

H3なんかは、タイルの大きさの全世界ほぼ均一性なんかの利点もあるので、必ずしも全球表現できるシステムであることが選ばれた理由ではないとは思うけど、でもこの話題に上った2つが、全球を表現できない既存のWebメルカトルタイルではなく、全球タイルシステムだというのは象徴的に感じる。 Webメルカトルは画期的だ、この地球上で人の居住してない地域を無視すれば、ほぼ全域を共通のルールで処理できるシステムだ、という有用性はいささかも色褪せないのだけど、一方で人間の営為は人の住んでいる地域だけでなく、極域や宇宙など、Webメルカトルでは全く扱えない領域にまで足を延ばそうとしている。 そんなところを扱えないタイルシステムを思考停止して崇め奉っている間に、世界最先端ではちゃんと全球を扱えるタイルシステムが、作り上げられていただけでなくちゃんと利用されていたわけですね...。

私なんかも極域まで扱えるタイルシステムを、極域はUPS図法で地図描画してタイル化して、Maplatのあらゆる地図の縮尺と方角を局地で合わせこむ技術を使って緯度85度付近でWebメルカトル地図と極域地図をシームレスに切り替えて、全球をタイル表現するというのを考えてはいたのだけれど、しょせん2次元の発想の域を出ない代物、立体を立体として扱えるタイルシステムが確立しててましてや既に利活用されてるならば、もう開発する意味はなさそうやね...。

自分の時代遅れ度を思い知らされた出来事でした。

*1:これは私にとっても元弊社だ。私はただの技術営業だったので、世界有数の技術力からは程遠かったが。

氷河期世代なら、経済が回ったって人が死ぬことに気づいてて当たり前なんだけどな

toyokeizai.net

こんなん普通に考えたら当たり前の話で。 だって病気でも人は死ぬ、経済でも人は死ぬというけど、病気で死ぬのは生命の摂理、誰しも襲われれば逃れようがないけど*1、経済で死ぬのは人間の社会のルールであって、別に死なせないようにルールを作り替えることだってできるわけなんやから*2。 いや今のルールが絶対、今のルールで回せなければ人は死ぬんや、と思考停止してるのは完全にドグマに陥ってるだけであって、恒久的に変えるのがさすがに劇薬ならば一時的にでも「人が死なないように」変えられるのが社会でありルールなのであって。 その社会やルールをびた一文変えずに、変えようがない自然の摂理にガチンコでぶつかったって勝てるわけがないし、そちらで負けても変えなかった社会のほうで経済が勝てるならまだそれでもいいんだろうが、社会は経済だけで定義されるもんじゃなくて病気への恐怖含めたあらゆる人の営為で規定されるもんなんだから、病気に負けてりゃもうこれまでのルールで回ってた社会と同じではいられないし、そしたら経済だって回らなくなるのは当たり前の話だわな。

もう、いい加減に「経済回らないと人が死ぬ」みたいな雑な言説に振り回される社会はやめにしようや。 そういうこと言うやつら、本当に「人が死ぬことが問題だ」なんてこれっぽっちも思ってねえんだから。 原発事故以降、原発反対の言説が出てくるたびに「原発動かして経済回さないと人が死ぬぞ、経済回らなくて人が死ぬことがどれだけ悲惨かわからないだろう」と弱者を人質にとってドヤ顔する奴らいたけどさ。 そういうこと言う奴ら、それほど弱者が死ぬことに心を痛めてるんだから、今回のcovid-19で「経済回しても人が死ぬ、回さなくても人が死ぬ」状況になったとき、それじゃ人は生きていけないから政府が支援することにさぞかし積極的なのだろうと思ったら、本当に軒並み「政府支援するな」「乞食か」「共産主義*3」などと言って政府支援に反対してたよね。 私の顔見知りでも、名指しはしないけど、姫路のあいつとか、会津若松のあいつとか、「原発回さないと弱者ガー=>covid-19で弱者死ぬ?知ったことか」のコンボを見事に決めてくれてたけど。 ついでに言うと、「政府支援は共産主義だ」まで言っておきながら、世論の反発に折れて政府が支援を決めると、批判を引っ込めるところまでがセット。 なぜ「安倍政権は共産主義的な政策を採用するなー」と反発しない*4? はっきり本音言えばいいのにね、本当は弱者が死ぬことになんか一片の興味もありません、原発を動かしたり、極右政権を翼賛したりしたいだけです、って。

そら、今の社会が、昭和の恐慌の頃のように食うものも財も何もそもそも足りてないというような社会なら、そら経済回して成長させんとみんな飢えて悲惨になるだろうと思うけど。 でもそんなレベルの社会なら、みんな暴動起こして社会がもっとめちゃくちゃになってるわな。 別に暴動が起こるでもない、みんなが豊かなわけではないけど大抵の人には十分な物資が行きわたってる社会なら、経済が少し回らなくなったって、分配のルールを少し是正してやれば人死になんてなんぼでも減らせるよ。 そら経済が回ってたほうがええに越したことはないけど、「経済が回らないと暮らせない、経済が停滞するとたちまち人が死ぬ」ルールに今なってしまってるんなら、「経済が停滞してても人は死なないけど、経済が回ればみんな豊かになって嬉しい」ルールに、そろそろ切り替えたほうがいいんじゃないか? 「経済が回らないと人が死ぬぞー」とかなんとか言ってた連中が、covid-19によって本当に弱者のことを心配してたわけじゃないと化けの皮が剥がれたこの好機に、ルール変えられないとこの先ずっとこのままな気がする。

だいたい、私らと同じ氷河期世代なら、「経済が回らないと人が死ぬぞ」とか言ってる奴がいたって、そんなの嘘だとすぐ気づきそうなもんだけどな。 経済が回ってたって、社会の恣意で人は死ぬんだわ。 いかにも粉飾景気くさいとはいえ、戦後最長の景気拡大とか言われて新卒の採用も未曽有の売り手市場と言われてたこの数年間に、氷河期世代の社会に見捨てられてた奴ら、救われたか? 人手不足だ人手不足だ叫ぶなら、氷河期世代の連中採ればいいのに、社会がそういう恣意を持たなかったために、たいして救われてないだろ? 経済がいくら回ろうが、救われるべき人を救おうという恣意を社会を持たなければ、人は救われないし人は死ぬ*5。 それが一方であるなら、その逆に、救うべき人を救うという恣意を社会が持てば、(たとえばcovid-19の間だけとか)経済が少し停滞したって、人が死ににくい社会を作ることだってできる。 氷河期世代のみな、エセ保守政党を支えて粉飾景気拡大を翼賛してれば、いずれおこぼれに預かって救われるかもと思ってたかもしれんけど、さすがにcovid-19で頭打って、この後は下がるかよくて停滞になるで。 この先「経済が回ったから俺たちも救われた!」みたいなことは望めなくなって、ここで「経済が回らなくても死ななくても済む社会に変えろ」という方向に鞍替えしないと、本当に悲惨なことになると思う。 氷河期世代だけでなく、これから数年の新卒世代も、今なんとかしないと、中年~初老の辛酸をなめた氷河期世代と同じことが待ってるかもしれない。 なんとか滑り込みで売り手市場の就職を決められた若い社会人たち、別に君らも盤石なわけでもない...氷河期世代の直前のバブル世代も、全体的相対的に見れば勝ち組なんだろうけど、彼らだってバブル崩壊後にリストラにあってる人たちがいるのは見てきてる……リストラされなかった人たちはそりゃ勝ち組になったのかもしれないけど、リストラされた人たちは氷河期組と変わらないし、君らも一部そういう憂き目にあうかもしれない。 covid-19で「経済を回さないと人が死ぬ」なんて言ってる連中の底が見えた今こそ、「経済が停滞してても人は殺さない」社会への切り替えを皆で訴えないと、またひとつ悲惨な世代が生まれるで……何といってもこの国は歴史に学ばないからな、また同じ愚が繰り返されるで。

*1:まあ致死率100%じゃないので運が良ければ生還できるが。

*2:そのルールの変え方ってなんや、と言われたらその社会の置かれてる状況によって答えはは一つじゃなくていくつでもあるやろし、それはそれぞれの社会でコンセンサスを得て決めるべきもんなんだから俺がこれが答えだ、処方箋だ、といえる類のもんだとは思わない。その意味では、スウェーデンでは社会のコンセンサスとしてルールを変えずに病気にガチンコぶつかることを選択したんだろうから、それ自体が間違ってるとかそういう話ではなく。でも、その選択肢はうまくいかないことはやってみなくてもわかってたんじゃないか?というだけの話で。

*3:いや、そもそも資本主義で個人の資産を使って経済活動をすることに制限をするなら、それに対する補償をする方が資本主義として当たり前なんだけど。

*4:それどころか、政府が支援を決めたら「政府のくれたものだ、政府批判をするなら受け取るな」みたいなこと抜かしてるやつらまでいたり。逆だ逆、政府批判したから支援政策が採用されたんだろ?お前ら最初反対してたくせに何言ってんだ。

*5:もちろん、それを抜け出すための努力が、経済が回ってるほうが反映されやすくはなるのは間違いない。しかし、それを上回る恣意が作用すればそんなのは簡単に叩き落されるし、往々にして「一部のみが潤う仕組みを作る恣意」がうまく働きだしたことをもって「経済が回ってる」と評されることもよくある。

私が語らないと歴史に残らない「位置ゲー事件簿」その3: 歴史上初のマルチキャリア携帯電話位置情報広告を出した店舗さんは、今はもう閉店していた

何年越しで書いてるかわからない「私が語らないと歴史に残らない「位置ゲー事件簿」」シリーズです。 位置ゲーの記録があったおかげで警察にアリバイ証明できた位置ゲープレイヤーさんの話とか、史上初のケータイ国盗り合戦全国制覇者の栄光に輝いた人が、実は事務局舞台裏では、(サイトが位置詐称対策をしていなかったばっかりに)こんな早くクリアできるなんておかしい!不正プレイヤーだ!と危うくBANされかかってたとか、ネタはいろいろあるんですが、なかなかモチベーションがわかず...。

そんな中、ちょっと位置ゲーというよりは、「位置ゲーもやってた」私の旧サイトの思い出話ですが一つ書いてみたいと思います。

今もう世の中で当たり前になってる位置情報連動広告ですが、世界で最初に位置情報連動広告を出した主体、およびそこに広告を配信した顧客はどこかご存じでしょうか? 「世界初」の定義にもよると思いますが...単独キャリアでの実験レベルならばNTTドコモなどがモーバイルインフォサーチ実験あたりの一環として昔から研究していたように思いますし、商用サービスとして正式にローンチしたのは、AdLocalのシリウステクノロジーズが最初だと思います。 ここであえて私に都合の良いような条件前提をつけさせてもらうと、

  • 一社単独ではなく、マルチキャリアプラットフォームで
  • 広く一般に広告出稿者を募り
  • ユーザの現在位置に連動した広告を配信していた

という条件のもとであれば、私が世界で最初に位置情報連動広告を出した主体です*1。 また、たった2店舗しか出稿してくれませんでしたが、その2店舗(のうち早かった方)が世界で初めて位置情報連動広告に広告を出した顧客になります。

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2004年12月ごろ、2店舗お客さんがついていたころのサイトです。 そのうちチキンの店は当時の同僚が副業でやっていた店なので、純粋に知らない人が応募してきてくれたのは町田のネットカフェだけですし、このネットカフェが世界初の位置情報連動広告に広告を出した方になります。 配信ロジックとか、いろいろ試行錯誤していたのが見て取れますね...いかんせん顧客が少なすぎて試行錯誤しても、世界一番乗り以外のなんの成果も知見も残せなかったのですが。

なんと、広告出稿者募集はサイトで告知していただけでなく、新聞にも出稿者募集の告知を出すまでやっていました。 といっても広告枠ではなく、お悔やみとかと同様の個人告知欄での告知でしたし、当然それを見て参加してくれた顧客など皆無でしたが。

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2003年9月6日ごろのサイトトップページです。 新聞広告を見てきた方はこちら、と書かれているのでこの頃にはもう新聞告知を出していたことがわかります。

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2003年6月11日ごろのサイトトップページで、ここには新聞広告の話が載っていないことから、新聞広告を出したのは2003年6月-9月頃のこととわかります。 まあ個人のいい思い出...くらいに思っていたのですが、よく考えると世界初の出来事なので、新聞広告を出した日や文面なども特定したほうがいいんじゃね?という気がしてきています。 当時は大阪堺に住んでいたので、毎日新聞の大阪版のこの3ヶ月ほどの個人告知欄だと思うのですが、また大阪方面で図書館に行ったときにでも探してみようかと思ってます...国会図書館で地方版の新聞でも調べられるのかな?

さて、世界初で位置情報広告を出稿してくれた町田のネットカフェさんなのですが、最近この位置情報広告実験のことを思い出して初めて気付いたのですが、私4年前から相模原に住んでいて最寄り駅は町田駅なので、すぐ近くなんですね。 全然気づいていなかったけど、これは訪ねてみなきゃ!と思って調べてみると、なんと14年前(2006年)に閉店してしまっていたようです。

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閉店を告げるサイトトップページのアーカイブ

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閉店を惜しむ常連さんの声が残る掲示板のアーカイブ

私が町田界隈に来るよりも10年も前なので、ネット上で出会って参加してもらっただけで、物理的にはすれ違うこともなかったわけですが、もし残っていれば訪ねて思い出話とかしたかったなと思ったので、とても残念です。 そして、あなたの店は世界史に残る(いやニッチすぎて残らないが)世界初の店なのですよ、ということを伝えたかったですね。

住所的にはここの3階にあったようです...先日会社の帰りに少しだけ立ち寄って下から見上げてきました。

やはり少し寂しいですね...。

*1:商用という条件をつけると、私はビジネス化もしておらず、広く一般に参加店舗を募ったものの飽くまで実験という位置づけであり、広告配信も自分のサイトに対してしかしておらず、出稿者から広告料もとっていなかったので、やはりAdLocalが世界初となると思います。

QRコードで自動運転プラットフォーム 15年ぶりに私の時代がやってきた?(笑

国土交通省QRコード付きの標識で自動運転向けのプラットフォーム提供を検討しているという話を聞いたとき、真っ先に表題のようなことを思い込んでしまった。

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標識にQRコード、自動運転という話で、てっきり自社位置決めのロケータとして用いるための経緯度を配信するのだと思ったのです。 実際には、配信するのは標識そのものの規制情報などの意味情報、そら確かにそっちも大切だわ。 QRコードの情報量なら、意味情報と位置情報、両方配信も可能かもね。

ところで、なんでQRコードで位置情報配信なら私の時代なのか? いやまあ、別にそれが実現されたところで私のところに一銭も入ってくるわけではないのだけれど、私、15年前に全国の電柱にQRコードを貼って、位置情報プラットフォームを作るべきというアイデアを披露しているのです。 まあ15年前なのでターゲットは自動運転ではなく歩行者なので、携帯GNSSバイスの発展した今となっては俺の元々発想してたようなのは最早無用ではありますが。 今はなき「ここギコ」ブログの記事なので、Internet Archiveの力を借りるしかないですが、

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今見れば、「QRコードは滅びる!(ドヤ」みたいな大外しなこと言ってて、QRコード位置情報をこんな前から言ってた!と威張るより、この大外しを掘り起こす方が恥ずかしい代物ですね。

ちなみにこの「街中のQRコードで位置情報プラットフォーム」案、私の提唱したのは上記の引用記事の通り2005年1月ですが、これに遅れること5ヶ月の2005年6月に出た伝説の本「MAPPING HACKS」の中で、

www.amazon.co.jp

なんと当時ノキアで働いていたというフィンランドの方が、全く同じQRコードで位置情報プラットフォーム案の記事を書かれていました。 これすごいっすよね、私は早くに思い付いたとはいえ、当時すでにかなりのQRコードの利便性を享受できていた日本に住んでいて思いつけたことだけど、その記事を書いた方は当時はまだ国外ではさほど広まっていなかったであろう日本国外で思いついたんですから...。 本の執筆時間も考慮に入れれば、本当に思いついたのも彼のほうが先だったかもしれない。 いずれにしても私より彼のほうがすごいと思ってます。 15年前はすごい人がいる!と思っても、特に国外の人を連絡先調べてコンタクトとったりするようなアクティブさはなかったので「すごい人っているんだね」で終わってたんですが、今15年ぶりにどんな人だか調べてみると、

このTwitterアカウントの人のようです。 今は英国で働いておられるよう。 今この古いネタで改めてコンタクトとるか...?というと微妙ですが、すごいと思っていた人の正体が15年ぶりにわかってスッキリです。

最後におまけとして、今回の記事を書こうとしていろいろググってたら見つけた話題。

bae.dentsutec.co.jp

これちょっとかっこいいですね! 今後意識して追ってみようと思います。

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