Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

正確な地図を、正確なままタブレットなどで扱える時代になりました

いとちり先生が、ハザードマップなどの正確な地図を、教育現場でも有用なタブレットなどでも見られるデータ形式にするためのTipsを公開されています。 4回連載です。

正直、やっと時代がここまで来たかーという感じで、個人的にすごくうれしいです。 私は不正確な地図を扱うためのソリューションとして、Maplatという技術を開発しており、同種の機能を展開しているStrolyという技術と対抗しています。 もちろん対抗している以上自分の方が使われた方がうれしいですが、ぶっちゃけて言ってしまえば、皆が正確な地図を扱うのにStrolyさえ使わないでいてくれたら、不正確な地図を扱う範囲であれば、Strolyを使おうがMaplatを使おうが私にとっては大した差ではないのです。 なぜなら、Strolyの運営は、正確な地図を正確なまま(GISとして)扱える形で技術を成長させようという提案を一蹴しただけでなく、『Strolyのような最新の技術が、GISのような古臭い劣った技術を導入できるか』と大意で言うような、GISを小馬鹿にした物言いまでしたのですから。

6年ほど前、私はStrolyの中の人だったのですが、GISの技術者でもあったので、不正確な地図を地図システムとして扱えるようにするStrolyの理念には賛同していましたが、一方で、Strolyを通すと正確な地図まで不正確にしか扱えなくなってしまうのを危惧していました。 正確なデータは、正確さを保ったまま扱えるようにすべきだという信念を私は持っていましたので、StrolyはGISデータも正確なまま読み込めるような進化をすべきだ、という主張を当時社内でしておりましたが、それに対して経営陣は先に書いたような言葉で否定してそれを拒んでいました。 結局、それにも端を発した一連の対立の結果、私は経営陣に騙されてStrolyを追い出されるに至ったのですが、そのような事を中で体験していたものですから、Strolyが元が正確な地図データを扱うという事に、非常な嫌悪感を持っていました。

その頃、いとちり先生もStrolyのユーザだったのですが、不正確な観光マップ等をStroly化する分には何の抵抗も感じなかったものの、先生は高校の教師ですから、教育のために正確な地形図やハザードマップ等もStroly化して授業で使おうとされているのに、とても悔しさを感じていました。 先生には先生の立場があり、教育現場でのタブレットの活用などのテーマもある中で、当時は不正確に扱うとはいえ、タブレットの上で自由に地図を表示できるソリューションはStrolyくらいしかありませんでしたから、それを活用して授業をする先生の行為は十分に理解できたのですが、しかし私はStroly運営の内情を知っていますから、先生、その方々はGISの敵なんですよ...ととても悲しい思いで見ていたのを覚えています。

それから月日がたち、記事の最初で引用したように、いとちり先生も正確な地図を正確なままタブレットなどに導入する方法を確立され、正確な地図まで不正確に扱うStrolyを、タブレットで使うためだけに活用するような時代は終わりを告げたようです。 いとちり先生の一連の記事を見た時、私がどれほど嬉しかったか! あまりに嬉しかった気持ちを残したく、この記事を書かせてもらいました。

記事の本題は以上なのですが、もし不正確な地図と正確な地図を同時一緒に同じシステム上で扱いたいと思われる方は、ぜひMaplatの採用を検討してみてください。 元々Strolyを作っていた人間が、正確な地図も扱えるようにしようと訴えて排除されて、その問題意識を持ったまま新たに作り上げたシステムなので、Maplatは最初から正確なデータも読み込んで一緒に扱える機能がついています。 ぜひ興味のある方は試してみてください。

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