Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

ちずぶらり対抗技術の名称、高橋徹さんが命名したMapBlarijに決定

以前の記事で書いた、ThinPlateSplineJSで一部実現し、さらに発展させようとしている技術の名称、何がいいかなと思ってたんだけど、ふとひらめいた。
MapBlarijがええやん!
これはいい!これにしよう。

MapBlarijって何やねん、というと、あまりに酷いので(笑)、センスのあるオランダ人デザイナの方にStrolyという名前に変更される前の、センスの微塵もないちずぶらりの英語名称
今でもググると少し出てくるね

命名したのは、素晴らしいセンスの持ち主の天才デザイナ、ATR Creative チーフプロデューサで総務省ICT地域マネージャの高橋徹
実に味わい深い、素晴らしいセンスじゃありませんか?

  • 「ぶ」"Bu"を母音抜けば外国語っぽいよね、的な安直さ
  • ラ行音にLとRを両方混ぜてみて…何?日本人的コンプレックス?
  • ijって何?最初、Blaryのイメージだったんだけど、オランダ人同僚(Stroly命名者とは違う人)から、yは元々ijから来てるんだよ、と教えてもらって、それだ!それで奇を衒おう!的なアホっぽさ

さすが英語が割と堪能なだけあって、英語の苦手な私には判らない国際感覚に溢れてます
素晴らしい。
命名当時は私も入社したばかりだったので、一応軽い反対はしましたが、どうしてもそれでいく、というのでもうまあ仕方ないかなと。

で、さすがにアホっぽさを別のオランダ人同僚に指摘されたか、恥ずかしくなって捨てたのだと思いますが、
その彼の命名した英語名を、それじゃこちらで使わせていただこうと。
もちろん、彼のアホっぽさを末世まで語り継ぐためですね。
やべ。俄然やる気でてきた。こりゃ後世に残る技術にしなきゃ。

ちずぶらりの中にいた頃、散々彼にセンスのない実務者扱いされたので、そのセンスのない実務者の築き上げた技術体系に、おんぶに抱っこで勝負してる彼のちずぶらりと、
センス溢れるスーパーデザイナの考案した名称を引っさげた新技術、MapBlarijの真っ向勝負ですね。
こりゃいいわ。
ちずぶらりが世に残っても、「ああ、あれ俺が築き挙げた技術ですし」と言えるし、MapBlarijが負けた事は「やっぱセンスのない名前付けたらダメですねー」と言えるしね。

というか、専門じゃないし判らないのでミュージアム分野での業績とかは保留しときますけど、ある程度は判るアプリ分野とかでの彼のやる事見てても、実際問題本当にセンスないしね。
ビジネス戦略組めるわけじゃなし、決断や判断できるわけじゃなし、実装はできない、情報は集めない、絵もかけなきゃペーパープロトタイピング的な事も出来ない、動くものがないと施策を考えられない…。
MapBlarijの命名以外にも、たとえばちずぶらりのロゴとか、英語版はちゃんと絵の描ける、Stroly側の命名者のオランダ人デザイナがデザインしただけあって、悪くはないんですよ。
震災記憶地図のサイトとかアプリとかでも、要所要所で露出して適切に活用されてるし。

これのことね。

でも、実はこのロゴ、日本語版もあるんですよ。
見た事ないでしょ?実はちずぶらりの左下ボタン、SNS等連携機能からのスクリーンショット機能にだけついてくるんですが、

これの右下。
なんじゃこりゃ!の奇を衒った書体の謎の日本語版ロゴ。
こんな日本語ロゴがいいと思ってるセンスが????だし、また、仮にいいと思ってたとして、ロゴであれば商品の顔だから製品イメージとして活用すべきであるのに、こんなところで誰にも認知されていないロゴを突然出してくる意図も意味も判らない。
高橋徹氏のセンスって、こんなもんですよ。

やっぱダメだわ。我慢できんわ。

過去のメールを見返せば見返すほど、怒りが収まらない。

時期が時期だけに id:monomoti には悪いけど、何があったか、どれほどの事をされたか明らかにするために、去年の4/9のメールも含めて、今すぐは避けるけど折りをみて公開するけど、そちらとの和解はできてるという前提で出すけど、文句ないよね?
あと、高橋夫妻にも4/9のメール転送するから。

ATR Creative社内で出さなかったメール『事業の前提共有のために』

いろいろメールを整理していたら、ATR Creative内*1にいた際に書きかけたけど出さなかったメールが出てきた。
書きかけなので結局出さなかったんだけど、同社の抱える問題がいろいろ明確になっていると思うので、ブログで公開しておこう。

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真知さん
徹さん

大塚です。
お疲れ様です。

先週の個人向けWebサイトを、投稿地図非公開状態でオープンする方向性の件は、話し合った結論の通り、ユーザからの公開させてくれ熱が高まれば時期をおかずに公開準備するという条件の元で了承しました。
それについては蒸し返すつもりもないのですが、あの手の議論がヒートアップする原因として、例えば事業の状況や目標、前提等が共有されていない事が一つあると思いますので、それを今後共有していく事を提案すると共に、私の立場からどのように見えているかを今回確認させていただきたいと思います。


まず、徹さんが言われている「マネタイズ、マネタイズ」というのが、純粋に黒字化、それも早急な黒字化なのか、それとも「社内政治」という言葉から想像されるような、純粋な黒字化だけでなくその上に別の判断基準/中間目標が存在するものなのか、それが我々の目からは全く判らないのです。
なので、それを知らされていない身からは、単純に一般的な黒字化に至るまでの常識論、経験論しか話す事ができず、それに照らすと徹さんの戦略はほぼ首肯できない事が多いのですが、しかし知らされていない前提条件があるのであれば全然話は違ってきます。
例えば、常識的に考えれば2〜3年後の黒字を最大化するには、戦略Aを採るべきだけれども、たとえ将来の黒字が小さくなっても今年は絶対これだけの売上を確保しなければならない、そのためには戦略Aではなく戦略Bを採らなければならない、でないと事業存続が認めてもらえなくなる、等。
それが共有できれば、ぶつかる事もなくそれに至るためのベストの戦略もみんなで議論する事が出来ます。
共有されていないので、一般論しかいう事ができないのですね。

現状我々の知っている事業の状況というのは、実際がどのように変わっていようと、知らされていないので、今期の始めに「案件30件程取れれば大丈夫」と言われた状況から変わってないのですね。
いやもっと言うなら、入社時に「アプリ公開すればファンドもバーンと入ってくるので大丈夫ですよ」みたいな話をしていた時とも何が変わっているのか判らない(何も知らされてないから、的な意味で)。
もちろん何となく雰囲気からは伝わってきますけど、実像が判らないので、むしろ不安を感じるような事を言われると逆に不安が募って、何故最善手を打たないんだ、と思ってしまうので、議論が感情的になってしまうのですね。
なので、事業の状況、予算から経費から売上、MUST/SHOULD双方の目標とその達成状況まで、きちんと時々の状況を公開してくれれば、もう少し具体的で建設的な議論になるのではないかと思います。
前社でも、部門の予算と売上目標、及びその達成状況は月1〜2回の全体会議で都度共有されていましたし、会社全体でもクオータ毎に共有されていました。


別の視点ですと、議論の際に高橋さん夫婦と我々との立場の違いも考慮いただければと思います。
我々にとっては、事業が続けられる事そのものが第一目的ではなく、それは我々にとっての必要条件でしかなくて、十分条件としては事業が続いて、かつ我々の雇用が維持され、さらに改善されなければ意味がありません。
一切のリスクを踏まないように慎重に慎重に事を運んで、なんとか5年10年と事業を維持できたはいいが、残った初期メンバーは高橋夫妻だけでした、みたいな形だと我々にとっては全く意味がないわけなのです。

もし我々が正社員で、どんなに赤字が続いてもちずぶらり事業が続く限りは雇用が維持されて、或いはちずぶらりがポシャってさえ雇用が維持され、別の事業や研究にチャレンジできる、そして長年勤めていれば自然に給料も上がり地位も向上して幹部になれる、というのであれば、どんな戦略であっても(都度正論は吐くとは思いますが)最終的にはつき合います。
そう言った事が保証されているのであれば、むしろのんびりと長々と事業した方が、我々にとっても利益につながるので受け入れ易いのですが、そういった事が保証されていない、事業の火が続いたとしても収益が成り立たなければ普通に首切られる立場にいる者としては、前提条件の見えないままあえて常道とは異なる戦略を採られると、なぜ?と思ってしまいすごく不安になってしまいます。
正直私にとっては、ちずぶらり事業に携わる上で最大のリスクは私自身の…

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ここで書きかけのメールは途切れていました。
まあ要するに、自分がATR Creative社の中で、何をしても辞めさせられる事はない(辞めさせられるとしても一番最後)とたかを括って特権的な地位にいると自覚している高橋徹にとっては、事業や技術での議論や衝突は、ジョブス並みにセンスのある自分にセンスのない下々が突っかかってきてるだけ、という感じだったんのでしょうが、
そうではなく、彼の下で働いている人間にとっては、「彼の好き勝手」対「自分の生活、人生」の対立だったのです。

彼は私をATRに誘う際、契約社員という部分に躊躇する私に対し、「ATRは組織改革が間に合ってなくて研究員という枠組みしかまだ用意できてないので、研究員という契約社員身分でしか雇えませんが、ちずぶらりは事業としてやろうとしてるので、契約が切れたからといって解雇するつもりはありませんから」とか、「我々も契約社員です。みんな同じリスクを背負ってますから」と言って、呼び寄せました。
また、もともとATR社内で事業するのではなく別会社を立ち上げようという案もあって、それはポシャったのですが、その時彼がエラそうに言っていたのが、「経営者というのはHurt Moneyといって、たとえ少額でも出資しないと、無責任な経営をする」というものでした。

入社してみて何の事はない、「みんな同じリスクを背負ってますから」等というのは大嘘だと言う事が判りました。
会議の際に、「家で打ち合わせした時はそういう話じゃなかっただろ!(契約社員高橋徹、怒号)」「え、ええ、そうだったっけ、どうだったっけ(取締役:高橋真知)」等とやり取りしてる、同じリスクを背負った契約社員等どこにいるでしょう。
深夜に同格の契約社員に、「これ以上逆らうなら解雇するぞ」と脅迫メールを送ってくるような、同じリスクを背負った契約社員等どこにいるでしょう。
それゆえ、「この会社はヤバい。放っておいたら好き勝手やられて事業回らない状態にされた挙げ句、その責任は彼らがとらずに俺らがトカゲのシッポ切りされる」と思ったからこそ、会社運営を正常化しようとして、自分たちの雇用を守ろうとして彼とことごとく衝突したのです。

一貫して思っていたのは、彼との対立は価値観の対立ではなく、彼の既得権益vs社員の将来の不安、による対立だったわけです。
その事を伝えようと上記のようなメールも書こうとしつつ、躊躇している間に、結局赤字体質が親会社に指摘され、思った以上に早く危機が来て、やはり想定通り高橋家は責任を取らずにトカゲのシッポが切られたわけです。
出資してない経営者は無責任、と彼が自分で言ってた言葉を、彼自身が証明したわけです。
一つ前の記事の、「どれだけGISやTMSを否定してきていようが、目の前にTMSの成果が転がってたら彼はそれを自分のものにする」という予言が当たっていたように、やはり「どれだけ過去に同じリスクを背負っている、出資していない経営者は無責任と発言していようが、彼は自分が責任を取るべき立場にきたらひょいと逃げる」という予言も、やはり当たっていました。

*1:正確には当時はATR-Promotionsだけどもいちいち正確を期しても意味ないので

総務省ICT地域マネージャー、高橋徹による『瀬戸内国際芸術祭2013』アプリがちずぶらり技術製であるという発表は虚偽であること

嘘吐けwwwコラっww

開いた口が塞がりませんでした。

経産省総務省主催で昨年11月に、大阪のグランフロントで行われたイベント「オープンデータ・アイデアソン in 大阪」で、講師として招かれていたATR Creative社所属で総務省ICT地域マネージャーでもある高橋徹氏が「情報デザインと地図:オープンデータの活用プラットフォームとしてのイラスト地図の可能性」と題して発表されたのですが、その時の資料がこれ。

同社の「ちずぶらり」技術の応用事例として、瀬戸内国際芸術祭2013の公式アプリが掲載されていたのです。
後で確かめてみると、同社の実績ページにも、ちずぶらりの成果として挙げられていましたが、これ、ちずぶらりじゃないんですよね…。
TMSという、全く別の技術なのです。
一見よく似てはいても、ヘリ空母揚陸艦くらい、原理も用途も違う代物です。


どうでもいいじゃん

よく似てて素人には見分けがつかないんだからどうでもいいじゃんって?
そう!まさにその通り!どうでもいいんです。が、どうでもいいが故に、どうでもよくないのです。

素人目どうでもいいぐらいよく似ていて、またデータ作成のベースとなる情報も使い回せるにも関わらず、原理が違うので使える用途が全く異なるちずぶらりとTMSの両技術ですが、
それゆえに両者を使い分けられる技術にちずぶらりを発展させれば、適用できる市場も用途も広がるので、TMSもシームレスにハンドリングできる技術を開発すべきというのが、私のちずぶらりの中にいた頃の主張だったのです。
それに真っ向から反対し、GISのようなセンスのない既存技術などちずぶらりと混ぜられるか、と拒否したのが高橋徹氏で、大喧嘩になったのです。
彼と衝突したのはこれだけではありませんが*1 *2、こういった衝突が遠因で、2012年初頭に騙し討ちにあい、私はATR社を解雇される事になりました。

そういった人一人の人生を危うく路頭に迷わせかねないレベルの事をしておきながら、その原因となった自ら否定した技術を、虚偽で自分たちの技術、と言っているからどうでもよくないのです。

友人とも衝突した

ATR Creative社の中には、友人がいました。
解雇された時、友人に伏して頼みました。
TMSとちずぶらりを融合させるべき、といった主張で衝突した事も一因で辞めさせられたのだから、絶対にATRではGIS、特にTMSを使った開発はやらないでくれと。
TMSを使った開発をやりたいなら、社外で一緒にやろうと。
友人は承諾してくれました。

が、友人はATR Creative社の中で、TMSを使った開発〜瀬戸内国際芸術祭2013アプリ〜を始めてしまいました。
話が違うじゃないか!と私は彼に詰めより、衝突して疎遠になってしまいました。
最近ようやく再度会話をはじめ、向こうの言い分も確認できたのですが、私も詳しくどういう言い方で頼んだかまでは覚えていないのですが、「ちずぶらりとTMSを混ぜるな」的頼み方をしたようで、TMS独自の開発ならばいいだろうと思っていたところ、私が責めたので、拡大解釈してくる私に対し不信感をもった、という事だったようです。

が、友人は本当に人がいいので気付かなかったのかもしれませんが、私はいろんな奴を見てきているので知ってました。
TMSを使った案件を始めれば、高橋徹のような類の人種は必ず、過去の自分の言動すら恥じずに、素人には判らないのをいい事に自分の成果として混ぜ込むであろう事を。
位置情報詐称対策技術の提供を人事評価で評価しないといい、それならば外部で評価を得るためにブログ等で技術を書き始めたら社内で使っている技術を外に出すなと言い、そんなら辞めますわー、というと辞めてもブログとかで技術の更新教えてくれますよね、と言って恥じなかった某社のマネージャー。
同じく位置情報詐称対策技術を評価しないと言うのに加担していたにも関わらず、俺が辞めた途端別に本質何も理解してないくせに、シンポジウム等で詐称対策の技術が大事でしてね…とか訳知り顔で話し出した某社取締役。
まあそういう輩は世の中に腐る程いるのを見てきているので、高橋徹も、最初ちずぶらりと関係なくTMSを使おうが、後からこれもちずぶらりです、等と言い出す類の人種であるという事は、判っていたことです。

さすがにこの事例を紹介して、ほら、TMSでやったはずの案件がちずぶらりとして紹介されてるでしょ、私が最初から恐れてたのはこれだったんだよ、と伝えると、私が懸念していた事を友人も納得してくれたようです。
まだその後会ってませんが、ようやく関係も改善できそうです。

とりあえず時々ジャブを打っておかないと

過去に言った事もやった事もなかった事にされて、金になりそうだと思ったら恥も外聞もなくなし崩しにやってきかねない人間なので、
「こら!高橋徹!お前はGIS分野に近づくんじゃねえ!ましてやTMS使って嬉しそうに成果に挙げるんじゃねえ!」
と、たまにこんな記事でジャブ打っておかないといけません。

*1:他に、親会社の大株主から赤字解消の大号令がかかり、親会社社長直々にコストダウンと黒字化の厳命がくだったので、より一層事業を効率化して黒字化を目指そう!と私が社内に号令したところ、高橋徹氏が効率化などしたらクリエイティビティを阻害する!と言い出しての大喧嘩とか

*2:半年間チーム皆で開発してきて、デッドラインまで1週間になった新機能を、高橋徹氏が突然「この機能をやっぱり見直したい」と言い出して、私が「見直すのはいいですが、それであればあなたの責任でデッドラインを延ばしてください。でないと皆が残業を強いられる事になります」と問いただしたところ、それには答えずに「君はそうやっていつもセンスのない実務で創造性の邪魔をする」とか何とか言い出しての大喧嘩とか

ちずぶらりの座標変換性能が思った以上に酷かった & ThinPlateSplineJSに代わる愛称募集

オープンソースでちずぶらりの代替に使えるThinPlateSplineJSも作ったので、ちずぶらりとの性能比較もやらなきゃなあと思ったまま放置してきたのですが、ようやくやってみました。
比較とか言う前にそれぞれのライブラリでも単独で機能確認しておくべきだったものの、ちずぶらり内部にいた頃はサボってしまっていたのですが、今回初めて行ったところ、ちずぶらりの変換性能が思った以上に悪い事が判明しました。
まあ、2年前の私のレベル、という事で…。

比較条件

お題の変換元は、ちずぶらりの1タイトル『ふじぶらり』の中に含まれている、『マイレール・岳南鉄道ラシックス』のデータを使いました。
本来、ちずぶらりは歪んだ古地図を扱うための技術なので、このデータで使われているような正確な地図は不得手ではあるのですが、

  1. 正確な地図故に、変換結果を図示すると変換異常を表し易い
  2. ちずぶらり運営側自身がその特性に気付かずに、正確な地図にまで適用を拡げつつあるので、技術としての限界を明示しておくべき

と思い、このデータを選びました。

データは全て、iTunesで同期したふじぶらりアプリの中から取得したマッピングkmlデータ等を使用しております。
ThinPlateSplineJS側でも、全く同じマッピングポイントを元に変換しております。
ロジックは、ThinPlateSplineJS側はThinPlateSplineJS+こちらで使っているemscripten版Proj.4のタッグ、ちずぶらり側は、ちずぶらりトップページの日本地図をハンドリングしている、JavaScript版ちずぶらりのロジックを用いました。
実証内容はライセンス的に公開するのは難しいので、希望者がありましたら、jsFiddle上で実証してますのでアカウント作成の上申し出ていただければお見せしますが、不特定多数には結果のみの公表とします。

変換精度

このデータで示されている地図範囲全域に対して、経度、緯度とも0.01度刻みでグリッドを設定し、その格子を絵地図上のピクセル座標に変換した結果を下記の図に示します。
赤がちずぶらりによる変換、青がThinPlateSplineJSによる変換です。
先述の通り、どちらも同じマッピングポイント(ちずぶらり用に作られたもの、全57点指定)を元に変換しています。

ご覧の通り、ThinPlateSplineJSの方がほぼ全域で格子を設定できているのに対し、ちずぶらりでは近隣にマッピングポイントを設定できない海上等で、致命的に格子が破壊されています。
陸上域でも隅の方等になると、変換に使えるマッピングポイントが少ないせいか、かなり歪な格子になっています。

この理由は、ちずぶらりが変換したい点の近傍のマッピングポイントを都度計算して、それを元に変換計算をしているためです。
なので、変換点は非連続に突然入れ替わります*1し、近傍にマッピングポイントが存在しなければ、遠くのマッピングポイントを元に計算する事になるため、突然誤差が大きくなります。
原理上、射影でいうところの、全射でもなければ単射でもありません。

ですので、格子を維持しようと思うと、ちずぶらりではどうしても地図面全体にまんべんのないマッピングポイントが必要になるのです。
例えば、マッピングポイントを57点から6点に絞ってみましょう。

ThinPlateSplineJSだと、まだちょっと納得はいかないレベルではあるものの、ある程度は格子の変換が収束してきています。
一方、ちずぶらりではグダグダです。

ちなみに、こういう正確な地図では、本来は投影系を特定してTMSというデータ形式の地図にするのが常道です。
それならば、マッピングポイントの指定も原理上は3〜4点指定するだけで、全域で寸分の狂いもないレベルの地図を作成できます。
何より、TMSだと、ちずぶらりみたいな特殊な環境でしか使えないデータではなく、ごくごく一般なGoogle Maps API等の地図の上にそのまま貼付けられる地図になります。
ですのでThinPlateSplineJSも、単独で全て解決、というスタンスで臨むのではなく、同じ画像とマッピングデータを使ってTMSとThinPlateSplineJS双方のデータを生成できるソリューションにしたいと思っております。

変換速度

上記のデータによる変換速度について調べてみました。
結果は以下の通り。

Average of 5 times test.

Transform count: 234
Stroly:
Total time: 85.2 μs
Time per transform: 0.36410256410256414 μs
ThinPlateSplineJS:
Total time: 69.2 μs
Analyzing time: 41.2 μs
Transforming time: 28.0 μs
Time per transform: 0.11965811965811966 μs

234回の変換にかかるトータルの時間は、ちずぶらり85.2μ秒、ThinPlateSplineJSは69.2μ秒でした。
これだけですとThinPlateSplineJSの方が少し速いだけですが、ThinPlateSplineJSはトータル時間中に、個々の変換処理に加えて最初に一回だけ変換テーブル作成処理が存在します。
これを除いた純粋な変換時間は28.0 μ秒で、ちずぶらりの3倍近い速度があるので、変換回数を増やせば増やすほど、最初のテーブル作成時間が隠蔽されて、ThinPlateSplineJSの優位性が上がります。

ThinPlateSplineJSの変換テーブル作成時間ですが、今回はこれを入れても速かったものの、あまり楽観視もできず、マッピングポイントが1000を越えるようなものだと今までで最高、変換テーブル作成に40秒費やす地図データに出会った事があります。
しかしその時間を、ThinPlateSplineJSは展開済み変換テーブルを直接やり取りできるインタフェースを設ける事で短縮しています。
変換テーブルは作るのには時間かかりますが、一度作ってしまうと変換はすばやく行う事が可能なので、サーバサイドでnode.JS等であらかじめマッピングポイントから変換テーブルを作っておき、それをダウンロードする形で直接解析するよりは高速に変換テーブルを展開する事が可能です。
ThinPlateSplineJSが解析に40秒もかかるようなデータでは、ちずぶらり側も、毎回変換の度に全マッピングポイントとの距離計算行ってる分、相当変換速度が遅くなるはずですので、それを考えると大きなデータでも十分な優位性はあるものと考えております。

ポジショントーク

ちずぶらりの中にいた頃、私は絵地図を扱うベストの技術としてちずぶらりを宣伝してきましたし、また歪んだ地図ではないある程度正確な地図においても、災害時に高速に配信する基盤としてちずぶらりを活用してはどうか、といった提言をしてきました。
が、現プロデューサに騙し討ちで解雇されて外に追い出された途端、ちずぶらりはダメだ、欠陥のある技術だ、等と言い出すのはポジショントークだと思われるかもしれません。
しかし、技術は普通進歩するものであって、中にいた頃はその進歩も見越して、ちずぶらりを宣伝していたのであって、正確な地図が扱いづらい、正単射変換ではない、といった問題も、TMSと連携させたりといった形でいずれ解決する目論みがあったからこそ、宣伝していたのです。
が、私が開発から外れ、TMS等のGISとの連携は現プロデューサにより明確に否定され、事実として2年間技術としての発展が止まり、問題は問題のまま永久に解決されなくなった今、ちずぶらりを薦めるべき理由は何一つありません。
ちずぶらり的なソリューションが必要なのであれば、ちずぶらりの持つ問題を解決し、また今ある問題も継続して解決していく意思のある、ThinPlateSplineJSの方を使うべきでしょう。

もちろん、ThinPlateSplineJSには、ちずぶらりにはある機能のうち、

  1. 現在地座標だけではなく、縮尺や方角も合わせて変換する処理
  2. 同じ画像中に複数の地図がある場合の、前後の重ね合わせも考慮した選択処理

等はまだ定義できていません。
が、ちずぶらり側でもそれらの機能を発想、定義し実装したのは私であって、同じ機能はThinPlateSplineJS側でもできますし、後はどれだけの労力がかけられるか、ひいてはどれだけの支援が得られるかの問題です。
同じ事が実現でき、その先の発展も見込めるのに対し、ちずぶらり側は完全に進化が止まっています。

2年前までは、絵地図や古地図を歪ませずに扱う技術はちずぶらりしかなく、故にそれを薦めるしかありませんでした。
が、今はThinPlateSplineJSが発展しようとしています。
絵地図や古地図を扱う技術が残念ながらニーズがないのであれば、ThinPlateSplineJSもちずぶらりも共に沈んでいけばいいし、ニーズがあるのであれば、2年前ならばともかく今や、ちずぶらりにコミットする意味は、今日明日すぐにアプリを出したいとかというレベルでなければ全くありません。

技術の愛称募集中

記事書いてきてて思いましたが、今他に適切な呼び名がないので技術全体をさす言葉としてThinPlateSplineJSに代行させましたが、ThinPlateSplineJSというのは飽くまでライブラリの名前であって、別にJavaScriptでしか使えない技術にするつもりはないし、Xamarin使ってiOSアプリもAndroidアプリも作るつもりでおります。
が、やっぱりJavaScriptだけ?的な誤解を与えないためにも、「ちずぶらり」的な技術セット全体の愛称があった方がいいなと思いました。
というわけで、それを募集いたします。

とりあえず既に候補はいくつかあるのですが、どれもしっくりこないので、この候補でいいんじゃないの、から、新しい愛称案含め募集します。
現状の案:

  1. 歴史国土

国土地理院旧版地形図をみんなでTMS化マッピングするサービスのサービス名として考えたもの。現在絶賛開発停止中。古地図を扱う技術セット全体の命名と考えれば、ちずぶらり対抗技術も含むと考えられなくもない。

  1. OpenTileMap

世に存在するTMSサービスのURLをみんなで共有しましょう、というサービスのサービス名として、id:tmizu23 が考えたもの。Web版は現在絶賛開発停止中だが、アプリ版を細々と開発中。非TMS地図であっても、ちずぶらり等も基本タイル地図なので、タイル画像化した地図を扱う技術セット全体の命名と考えれば、ちずぶらり対抗技術も含むと考えられなくもない。

  1. ぷらっとまっぷ

「ちずぶらり」っぽい命名をしようと考えて絶賛自爆したもの。

候補が選ばれる事になっても、新愛称になっても、とりあえず一番貢献してくれたと思った意見に対し、少ないですが1万円の商品券(まだ買ってないので何がいいかはご指定いただけます)をお送りしたいと思います。
連絡方法は、FacebookTwitter等は利用を一時停止しておりますので、はてブ、その他のはてなサービスによるidコール、Qiita、kochizufanアカウントのメールアドレス等宛にお願いします。

== 追記 ==

締め切り書くの忘れてた。
急いでるわけでもないので別に何時でもいいんだけどとりあえず 2/15 (土)くらいで。

*1:私が開発していたiOS版のちずぶらりでは、こうしたちずぶらりの欠点のうち、非連続な変換が発生する問題等は解決するためのロジックを入れていました。が、minifyされているコードで解析が難しいですがおそらく、JavaScript版には反映されていないようです

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