Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

保守を自認する方こそ率先して、covid-19の特別定額給付金は全て寄付に回して欲しい

時期逃してもう半月前の話題ですが、covid-19での1人10万円の特別定額給付金が7月の上旬、8日にようやく私の口座にも家族分振り込まれました。

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相模原特別定額給付金振り込み

それを受け、家族には家族の分を渡して、自分の分は全部あしなが育英会への寄付に突っ込みました。

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あしなが育英会への寄付

あしなが育英会を選んだ理由は、こういう社会全体が危機に陥っているときに真っ先に影響を受けるのは「貯金」や「頼れる家族」といった「社会的溜め」がない人たちなので、それかつ子供でもある遺児学生を支援しようと考えたのと、まさに当のあしなが育英会が、そういった子供たちの支援を迅速に、国の定額給付などよりよっぽど早く打ち出したからです。

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さて、寄付したよ!とわざわざ書いたのは、いい人でしょ褒めてとかいうためではないです。 そうではなく、これからこの記事で他の人にも寄付を呼びかけるので、ちゃんと呼びかける以上いの一番で自分はやってますよ、というのを示すためです。 呼びかけます。 「今回の定額給付金、特に日々の生活に困ってない人は、国内への寄付に回しませんか?」 明確にcovid-19後収入が減ったなどで(あるいは減ってなくても、もともと苦しいなどで)、家賃の支払いだの日々の生活費だのに回さざるを得ない人はそうすべきだし、元々そうするための給付金なわけだけど、特に生活に困ってなく、給付金?パソコンでも買い換えるか?趣味に回すか?とかが利用用途の人は、この際寄付に回してみませんか?

もともと定額給付金は個人に付された権利なので、どう使おうが個人の勝手だし、ましてや地方自治体など団体単位で定額給付金を寄付しろ、などとほぼ強制の吸い上げに「寄付」という言葉が使われた経緯などを考えると、リベラルとしては定額給付金の寄付は言い出しにくいんだけど、それでもこの給付金が決まった経緯を考えると、そうあって欲しいと思うのです。 特に、普段リベラルではなく保守としての立場を標榜している人は(理由は後述)。

本来、危機に当たって、社会から支援を行うならば、本来は「一律に同額支援する」よりは、「困っていない人には支援しない、その分困っていない人に倍額支援する」方が理想的ですよねーーそれが技術的に可能であるならば。 が、実際のところ、社会の仕組みって、何かがあったからといって適切な線引きを、コストも時間もかけずに簡単にできるような形にはなっていない。 たとえば給付先を絞るなどして何かのコストを減らすのに、その給付先を絞る条件などを一人一人調査してフィルタかける事務処理にかかる金銭的、人的、時間的コストが、そのことで減らせるコスト以上にかかりかねないのがこの社会の実態です。 なので、その中でも特に時間的コストを重視して、とにかく今は明日にでも少し入金があれば首吊らなくて済む人も一人でも増やせる状況なのだから、とにかくスピード重視で万人に今すぐ政府支援を、というのが、与党の言っていた制限付き給付に反対して、一律給付を要求してきた野党やリベラルの主張の根拠*1。 あと別の視点として、影響度の深刻度の差はあれ、この国(この世界!)に住む市民全員が巻き込まれている災害に対し、安易に支援する、支援しないの線引きをすると、困ってないのに単に手続き上の分類で支援対象になった人、むちゃくちゃ困ってるのに線引きの外になった人などが出てきて*2、民衆の間に分断が発生してしまいます。 その辺のことを考慮して、私も含めた野党やリベラルは、条件なしの一律給付を主張してきましたし、結果採用された政策も条件なし一律給付となりました*3

という経緯ではあるものの、他のリベラル勢はわかりませんが少なくとも私は、(そんな手段はないのでリアリズムに徹すれば条件なし一律給付にせざるを得ないものの)誰もが納得して、かつ金も時間も人的にもコストがほとんどかからない形で困ってない人と困窮者の線引きができる手段があるならば、本来は「一律に同額を配る」よりも「困ってない人には配らない、困っている人には多い額を配る」形であるべきだと思っています。 なので、今現在できる救われるべき人を素早く漏れなく救うための施策の副作用?として、別に困っていない人にまでお金が回っていますが、私は本来はこのお金は困窮している人に回るべきだと思うし、しかし本当に困窮しているかどうかは極論当人にしかわからないので、自分の判断で自分は困ってないと思えば寄付に回して欲しいです。 ただでさえ日本では寄付の文化が根付いてないと言われるので、この機に、別に自分で稼いだ金じゃない*4棚からぼた餅、なくても惜しくはないお金を寄付に回す練習をするところから始めて、寄付の文化が日本に根づけばいいなあと思っています。 自分で稼いだ金じゃなくても寄付に回せば、寄付先が認定NPOであれば証明書がもらえますから、ちゃんと税金還付には使えます。 ぜひこれまで寄付したことがない人も、この機に寄付の練習してみて欲しいと思います。

最後に、なぜ「保守」の人こそ寄付して欲しい...という書き方になったか。 日本には寄付の文化が根付いていない、と書きましたが、単に本などで読んだだけの出羽守になりますが、欧米ではノーブレス・オブリージュの考え方があり、困窮していない人は困窮している人を寄付などで支えるべきという考え方が、政治的な保守、リベラル関係なく存在していると聞きます*5。 政治的な立場を超えて、恵まれない人も救うべきという価値観は共有されている、その中で保守とリベラルの違いは、保守はそのような弱者救済は恵まれた個人の篤志に任せておけば良いと考えているのに対し、リベラルは社会がきちんと弱者をできるだけ大きく網を張って助けるベースラインを作るべきだと考えている点が違うだけのようです。 弱者救済を個人の篤志に任せると、結局その篤志に運良く出くわせることができた運の良い弱者だけが救われることになる、そうではなく、運の良い悪い関係なく、できるだけ広く均等に救われるように、社会そのものが安全装置を持っておくべきだ、というのがリベラルの考え方だと思います。 なので、リベラルだから国が弱者保護をすべきと主張しているから、本人は寄付などをしていないというのは全く違うし、逆に保守だから、国が弱者保護すべきでないと主張しているから、本人も弱者保護に興味がないというのも少し違うらしいと理解しています。

ところが、寄付文化の根付いていない日本では、弱者を救う制度を国に作るか作らないかという保守とリベラルの議論は、そのまま弱者を救うか見捨てるかという議論になってしまいます。

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この記事でも、困窮している人を自己責任とする論者の割合は日本がとても高くて38%。 これ、いくらなんでも酷薄すぎないですか? 和の国、美しい国、支え合う絆の国、おもてなしの国はどこにいった? 保守を自称する方々、弱者を支える制度の創設にやたら反対するなら、せめてその代わりになる自分たちでの寄付くらい、バーンとやって欲しいと思います。 ましてや、2つ前の記事で言及したような、安倍政権が世論に押されて採択するまで、無条件支給を乞食だの共産主義だのと言ってたような自称保守の人たち、まさかその自らが言った乞食のように、もらった金をそのまま自分の好きなことに使ったりしてないですよね? 弱者を救うために寄付に回してるか、最低でも国庫に返上してますよね*6? 保守の方々、弱者を能動的に救わなくても経済が回れば弱者は救われるという論点でずっと来られたのでしょうが、covid-19で経済を回したくても回せない社会が現実となった今こそ、弱者は救うべきという基本理念は一致させた上で、国が広く基礎を固めるか、個人がバーン!とやることで国が出なくてもよくするか、というところで議論しませんか?

*1:実際には、無能な政府のせいで、スピード最優先で条件なしにしたにもかかわらず、支給までに3ヶ月以上かかってるような体たらくですが...条件なしでこれなのだから、条件付き施策にしていたら、いつまでかかったやら...。

*2:実際、与党の制限付き条件案が出ていた時も、この制限案だとほとんどの人が引っかからない、と批判されていました。

*3:その他にも、世帯にではなく個人に給付しろ、などいろいろな論点がありましたが、そういったところは押し込み切れず政府案の通り世帯配布になったりもしています。

*4:まあ、原資は我々の税金なので、社会の危機に応じて我々の元に戻ってきただけではあるのですが。

*5:もっとも、欧米でも日本のネトウヨのようなAlt-Rightの勢力も現れてきているので、そういう人たちがノーブレス・オブリージュの概念を持っているかはよく知りませんが。

*6:個人的には、弱者を支えることにお金が回る保証がないので、返上は愚策でもらって寄付に回すのが最善と思っています。が、国から給付金が出ることを乞食などと言っていた人たちなら、筋を通すなら返上が当然だと思います。

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