Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

私が語らないと歴史に残らない「位置ゲー事件簿」その3: 歴史上初のマルチキャリア携帯電話位置情報広告を出した店舗さんは、今はもう閉店していた

何年越しで書いてるかわからない「私が語らないと歴史に残らない「位置ゲー事件簿」」シリーズです。 位置ゲーの記録があったおかげで警察にアリバイ証明できた位置ゲープレイヤーさんの話とか、史上初のケータイ国盗り合戦全国制覇者の栄光に輝いた人が、実は事務局舞台裏では、(サイトが位置詐称対策をしていなかったばっかりに)こんな早くクリアできるなんておかしい!不正プレイヤーだ!と危うくBANされかかってたとか、ネタはいろいろあるんですが、なかなかモチベーションがわかず...。

そんな中、ちょっと位置ゲーというよりは、「位置ゲーもやってた」私の旧サイトの思い出話ですが一つ書いてみたいと思います。

今もう世の中で当たり前になってる位置情報連動広告ですが、世界で最初に位置情報連動広告を出した主体、およびそこに広告を配信した顧客はどこかご存じでしょうか? 「世界初」の定義にもよると思いますが...単独キャリアでの実験レベルならばNTTドコモなどがモーバイルインフォサーチ実験あたりの一環として昔から研究していたように思いますし、商用サービスとして正式にローンチしたのは、AdLocalのシリウステクノロジーズが最初だと思います。 ここであえて私に都合の良いような条件前提をつけさせてもらうと、

  • 一社単独ではなく、マルチキャリアプラットフォームで
  • 広く一般に広告出稿者を募り
  • ユーザの現在位置に連動した広告を配信していた

という条件のもとであれば、私が世界で最初に位置情報連動広告を出した主体です*1。 また、たった2店舗しか出稿してくれませんでしたが、その2店舗(のうち早かった方)が世界で初めて位置情報連動広告に広告を出した顧客になります。

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2004年12月ごろ、2店舗お客さんがついていたころのサイトです。 そのうちチキンの店は当時の同僚が副業でやっていた店なので、純粋に知らない人が応募してきてくれたのは町田のネットカフェだけですし、このネットカフェが世界初の位置情報連動広告に広告を出した方になります。 配信ロジックとか、いろいろ試行錯誤していたのが見て取れますね...いかんせん顧客が少なすぎて試行錯誤しても、世界一番乗り以外のなんの成果も知見も残せなかったのですが。

なんと、広告出稿者募集はサイトで告知していただけでなく、新聞にも出稿者募集の告知を出すまでやっていました。 といっても広告枠ではなく、お悔やみとかと同様の個人告知欄での告知でしたし、当然それを見て参加してくれた顧客など皆無でしたが。

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2003年9月6日ごろのサイトトップページです。 新聞広告を見てきた方はこちら、と書かれているのでこの頃にはもう新聞告知を出していたことがわかります。

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2003年6月11日ごろのサイトトップページで、ここには新聞広告の話が載っていないことから、新聞広告を出したのは2003年6月-9月頃のこととわかります。 まあ個人のいい思い出...くらいに思っていたのですが、よく考えると世界初の出来事なので、新聞広告を出した日や文面なども特定したほうがいいんじゃね?という気がしてきています。 当時は大阪堺に住んでいたので、毎日新聞の大阪版のこの3ヶ月ほどの個人告知欄だと思うのですが、また大阪方面で図書館に行ったときにでも探してみようかと思ってます...国会図書館で地方版の新聞でも調べられるのかな?

さて、世界初で位置情報広告を出稿してくれた町田のネットカフェさんなのですが、最近この位置情報広告実験のことを思い出して初めて気付いたのですが、私4年前から相模原に住んでいて最寄り駅は町田駅なので、すぐ近くなんですね。 全然気づいていなかったけど、これは訪ねてみなきゃ!と思って調べてみると、なんと14年前(2006年)に閉店してしまっていたようです。

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閉店を告げるサイトトップページのアーカイブ

web.archive.org

閉店を惜しむ常連さんの声が残る掲示板のアーカイブ

私が町田界隈に来るよりも10年も前なので、ネット上で出会って参加してもらっただけで、物理的にはすれ違うこともなかったわけですが、もし残っていれば訪ねて思い出話とかしたかったなと思ったので、とても残念です。 そして、あなたの店は世界史に残る(いやニッチすぎて残らないが)世界初の店なのですよ、ということを伝えたかったですね。

住所的にはここの3階にあったようです...先日会社の帰りに少しだけ立ち寄って下から見上げてきました。

やはり少し寂しいですね...。

*1:商用という条件をつけると、私はビジネス化もしておらず、広く一般に参加店舗を募ったものの飽くまで実験という位置づけであり、広告配信も自分のサイトに対してしかしておらず、出稿者から広告料もとっていなかったので、やはりAdLocalが世界初となると思います。

QRコードで自動運転プラットフォーム 15年ぶりに私の時代がやってきた?(笑

国土交通省QRコード付きの標識で自動運転向けのプラットフォーム提供を検討しているという話を聞いたとき、真っ先に表題のようなことを思い込んでしまった。

jidounten-lab.com

標識にQRコード、自動運転という話で、てっきり自社位置決めのロケータとして用いるための経緯度を配信するのだと思ったのです。 実際には、配信するのは標識そのものの規制情報などの意味情報、そら確かにそっちも大切だわ。 QRコードの情報量なら、意味情報と位置情報、両方配信も可能かもね。

ところで、なんでQRコードで位置情報配信なら私の時代なのか? いやまあ、別にそれが実現されたところで私のところに一銭も入ってくるわけではないのだけれど、私、15年前に全国の電柱にQRコードを貼って、位置情報プラットフォームを作るべきというアイデアを披露しているのです。 まあ15年前なのでターゲットは自動運転ではなく歩行者なので、携帯GNSSバイスの発展した今となっては俺の元々発想してたようなのは最早無用ではありますが。 今はなき「ここギコ」ブログの記事なので、Internet Archiveの力を借りるしかないですが、

web.archive.org

今見れば、「QRコードは滅びる!(ドヤ」みたいな大外しなこと言ってて、QRコード位置情報をこんな前から言ってた!と威張るより、この大外しを掘り起こす方が恥ずかしい代物ですね。

ちなみにこの「街中のQRコードで位置情報プラットフォーム」案、私の提唱したのは上記の引用記事の通り2005年1月ですが、これに遅れること5ヶ月の2005年6月に出た伝説の本「MAPPING HACKS」の中で、

www.amazon.co.jp

なんと当時ノキアで働いていたというフィンランドの方が、全く同じQRコードで位置情報プラットフォーム案の記事を書かれていました。 これすごいっすよね、私は早くに思い付いたとはいえ、当時すでにかなりのQRコードの利便性を享受できていた日本に住んでいて思いつけたことだけど、その記事を書いた方は当時はまだ国外ではさほど広まっていなかったであろう日本国外で思いついたんですから...。 本の執筆時間も考慮に入れれば、本当に思いついたのも彼のほうが先だったかもしれない。 いずれにしても私より彼のほうがすごいと思ってます。 15年前はすごい人がいる!と思っても、特に国外の人を連絡先調べてコンタクトとったりするようなアクティブさはなかったので「すごい人っているんだね」で終わってたんですが、今15年ぶりにどんな人だか調べてみると、

このTwitterアカウントの人のようです。 今は英国で働いておられるよう。 今この古いネタで改めてコンタクトとるか...?というと微妙ですが、すごいと思っていた人の正体が15年ぶりにわかってスッキリです。

最後におまけとして、今回の記事を書こうとしていろいろググってたら見つけた話題。

bae.dentsutec.co.jp

これちょっとかっこいいですね! 今後意識して追ってみようと思います。

璉珹寺通信寄稿『さろんに通って6年、関東からももう4年』

私は毎月1回、関東から奈良京終の璉珹寺へ京終さろんというイベントに参加させてもらうために関西へ戻っているのですが、この度、その京終地域のローカル情報誌である『璉珹寺通信』2020年新年号に寄稿を依頼されました。 その内容をブログにも転載しておきます。


 京終さろんに私が通い始めて、もう6年程度になります。通い始めた頃は高畑に住んでいたのですが、2年ほど通った時に転職の都合で関東に引っ越さなければならなくなりました。でも京終さろんから離れたくなかった私は、それから今まで4年、関東は相模原からほぼ毎月、京終さろんに通い続けました。この12月で、関東で新しい会社に転職したのですが、一つの会社に在籍するのは4年我慢できなかったのに、京終さろんには6年を超え通い続け今後も通うのですから、私の奈良好き、京終好き、京終さろん好きも我ながらあきれるほど大したものです。

 京終さろんに私が通い始めたきっかけですが、私はIT技術者で、古地図を使って街歩きできるアプリ*1をつくったり、ITテクノロジーを使って街をよくしていくボランティア活動団体*2に属していたりしていました。そういった活動をしていくにあたり地域のコミュニティに困っている事を聞いたり、解決すべき問題を見つけたりする機会が欲しくて、地域の人が集まっていると言う京終さろんに参加し始めたのが最初です。ですがすぐに、そういった最初の目的より、京終さろんそのものが面白くて通うようになりました。毎回思っても見なかったような角度から京終やならまちの魅力を語ってくれる講師の皆さん、そしてそれを元に豊富な知識を持って議論する地域の参加者の皆さん。こんな面白い空間が世の中にあるとは私はそれまで想像もしていませんでした。

 奈良だけでなくいまや群馬館林など各地の地誌も読み調べ散らかしている今の私をご存知の方は意外に思うかもしれませんが、ほんの6年前まで、私は地域史とか特に詳しくなかったのです。高校の頃歴史学志望だったり、事業で古地図扱ったりと言う素地はありましたが、基本ずっと技術者だったので、そこまで地域史に興味もなかったのです。それが地誌を読み漁ったり、街歩きでいろいろ調査したりし始めたのは、一重に京終さろんに通って、講師や参加者の人からいろいろ教えてもらった結果です。一度興味を持つと人一倍のめり込むのと、誰もやってない事をやりたいという欲があるので、これやる価値があるのじゃないか?と思って奈良中の地蔵や祠の場所を記録して回ったり、地誌や古地図内で(多分)新しく発見したことを披露してみたり、あるいはこの歴史間違っているのではないか?とか、飛鳥神社の由緒の話などでは多少暴走してご迷惑をおかけしているかもしれませんが、ぜひ暖かく見守ってください。

 私の出身は姫路で奈良に対しては新参者(どころか正確には既に去った者)ではあります。ですが、姫路では多少知られた詩人である祖父((大塚徹)))が、作詞したいくつかの姫路ローカル歌謡曲が、京終に縁のあるテイチクから発売されていて、偶然ですがここに来るのが運命でもあったような、不思議な縁を感じています。そして、そういった地域の隔たりを超えた京終への縁を、あえて遠くに住んでいる立場を活かして、今度は私が作り出したい。11月の京終さろんでは、京都から大学時代のサークルの後輩を呼び寄せて、古典と新作の狂言比較という新しい試みを楽しんでいただきました。私も手伝いですが、6年を経て初めてさろんの講師側に立たせていただいて、嬉しく思っています。特に何が具体的に動いているわけではないですが、寮さんが提唱している中将姫を奈良で盛り上げていく話も、中将姫は東北から九州まで全国に逸話がある奈良を超えたヒーローですので、ぜひ前に進めたい。私の友人の、群馬の歴史研究者が提唱した概念に「大字(おおあざ)史」というのがあり、それは大きな歴史ではなく、小さな大字単位の歴史を住民が主体で掘り起こし、記録し出版し、そうしてできた小さな歴史を関係性で織りなすように繋げて大きな歴史を再構築していく試みですが、もうすぐ京終本を発行される京終は、偶然にもその大字史のような概念が奈良でももっとも進んでいる地域ではないでしょうか。その京終の大字史を、奈良、日本、世界との縁につなげる一助に、今後も関わっていきます。

緊急提言:行政だからこそ、プロプライエタリなStrolyではなくオープンなMaplatを使うべき

[注:本記事はほぼ同内容のQiita記事のシャドーです]

東京都が開催したスタートアップイベント、UPGRADE with TOKYOの情報が入ってきましたので、急遽その結果に対する提言を述べる記事を書くことにしました。

東京都副知事の宮坂さんのツイートによると、Maplatと似た機能を提供している、Stroly社がこのイベントで優勝したそうです。

ツイートの内容を見ると、都庁観光センターにある700種類のイラストマップを、今後デジタル化し位置情報もついた状態でスマホでナビゲーションできるシステムを、競争入札あるいは随意契約でStroly社に依頼する可能性もあるというふうに受け取れます。
が、ここで情報提供しておくべきなのは*1、Strolyはこのようなシステムを作り得る世の中で唯一の技術ではなく、おなじこと、いやそれ以上ができるオープンソース技術が、Maplatとして、世の中に存在するということです。
対抗技術がオープンソースで存在する以上、行政は随意契約など行うべきではなく、競争入札を行うべき案件であろうということになります。
行政なればこそ、Stroly社サーバ上でしか動かない技術ではなく、本来はオープン技術を使うべきであろうと思いますので、随意契約など論外であろうと思います。

そしてMaplatには、Strolyを上回るいくつもの性能、機能上の特徴があります。
その辺を網羅した最新の機能対応表は下記の通りになりますが*2

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StrolyとMaplatの機能差一覧
このいくつかについて、行政システムに対応する際の利点、問題点なども交えて説明を加えますと、

  • MaplatはStroly技術と違い、古地図/絵地図上の点と正確な位置座標が必ず1対1で対応する事を保証することができるので*3、人命危険性のない観光、エンタメ用途のみならず、防災など人命がかかるような用途にも使っていただける技術です。
    Strolyは正しい場所に位置が表示される保証がないため、人命がかかった災害用途など(例:ハザードマップ)に使うことは困難です。
  • Stroly技術と違い、Maplatは古地図/絵地図上の線と、正確な地図上の線(たとえば道路、線路形状など)の形が異なっても、双方の対応点が必ず線の上に乗るように変換させることができます。
    なので、抽象的に描かれたバス路線図、鉄道路線図上に車両の位置を表示したりといった用途にも利用できます。
  • Stroly社のサーバの上でしか動作せず、継続して公開しようと思えばサービスの継続フィーをStroly社に払い続ける必要のあるStrolyと違い、Maplatは東京都様のサイトの上でも、サーバサイドの開発の必要なくWebサーバに静的ファイルを配置するだけで動きます
    サーバサイドがないので、都のWebサーバが落ちない限り障害が発生することもありません。
  • Stroly社のサーバの上でしか動作しない、すなわちインターネットに繋がった環境でしか動作しないStrolyと違い、オフラインでも動作可能なMaplatは、たとえばネットにつながらないスタンドアローンな公共博物館内でのシステムなどでも、館内システム開発の部品としてご利用いただけます。
  • 決まった動作の地図サイトしか提供できないStrolyと違い、Maplatは動作を外部からAPIで制御できるので、先にも書いたようなバス路線図、鉄道路線図上にリアルタイムな車両の位置をAPIで制御し表示したりと言ったことにも利用可能です。
    Stroly社も、特別に機能追加を依頼すれば作り込みでできるかもしれませんが、公開されたAPIをStrolyは持たないため、その作り込みができるのはStroly社のみになりますが、Maplatはオープンソースですので、どちらの業者様でも使い方さえ覚えれば競争入札に参加できることになります。
  • スマホのネイティブアプリの部品として組み込めるようなネイティブSDKライブラリも用意しておりますので、観光アプリなどの中でも部品として使うことができます。
    Stroly社もスマホアプリを作ることはできますが、SDKがないため、古地図絵地図表示に関係ない部分含めて随意契約でStroly社に発注して作らせることしかできません。
    MaplatはオープンソースでネイティブSDKライブラリを用意していますので、どんな会社でも使い方さえ覚えれば作れるので競争入札させることができます。

といった特徴があります。

単に誰でもアクセスできるオープンソース技術があるだけでなく、これだけ

とこれだけ悪条件が重なっている以上、Strolyが随意契約になどなり得る根拠などありません。
むしろ、前の3条件は性能や動作原理に関わるものである以上、追加開発でなんとかできる類のものではないので、逆にこれらが競争入札の発注仕様に入っていると、Strolyの方が競争入札に参加できないような類のものです。

逆に残念ながら、StrolyにあってMaplatにないものもあります。
それは、ユーザが無料でオンラインで地図を編集し、発行できるオンライン地図エディタです。
これは残念ながら、開発工数およびシステム運用含め、技術力の深さよりマンパワーで解決される類のものなので、多大な資金を持って人を集めているStrolyに比べ、オープンソース活動でしかないMaplatはこれを準備できていません。
しかしながら、お金のない一般個人を相手にするB2C案件では、無料オンライン地図エディタの存在は大きいですが、行政から請け負うようなB2B案件では、無料オンライン地図エディタの存在はほとんど意味がありません
たとえば都の案件でも、700枚の地図のマッピング作業を、お客様側である都の職員が、自らエディタを使ってデータ編集し、サイトの運営だけStrolyに任せるでしょうか?
そうではなく、700枚の地図のマッピング作業まで含めて、発注仕様に含めるでしょうし、そうなると無料オンライン地図エディタの存在は特に意味がありません。
もちろん、基本データの作成は発注するものの、微修正は都の職員がやりたい、という要件も出てくるでしょう。
が、これも、Maplatはオンラインエディタはないもののオフラインエディタはちゃんとあるので、これも都の職員にオフラインエディタで編集してもらって、データだけ納入してもらうという形で、即時性にさえ目をつぶれば運用でカバーできるものです。
あるいは、性能が足りていないのではなく機能が足りていないだけなので、この案件のためだけに必要十分最低限のオンラインエディタを追加開発するというのもアリでしょう。
いずれにしましても、Strolyがオンラインエディタを持っていることで、お客さんがコンテンツを少し改変できる自由度で多少優位なのは事実ですが、しかしながらもっと広い意味の自由度では、Strolyサーバの上でしか動かないStrolyサービスと違い、全てをお客さんのサーバの上で動作させられる(全てのコンテンツをお客さんが持っている)Maplatの方が、はるかに自由度が高いのも事実です。

今回、Strolyがこのイベントで1位を取り、宮坂副知事が言及したことで、700枚もの地図を扱うシステムを都が開発する可能性が見えて参りましたが、

  • 一般庶民の都民としては、このシステムが随意契約で劣った技術と高価なフィーの会社に案件がわたり、税金が無駄にされることのないよう監視していく必要
  • 公共団体向け受注を生業とされる企業様においては、この大きなシステムの競争入札が出てくることに備え、Maplatを勉強し、対応できる提案を磨いておく必要

があるのではないでしょうか。

*1:というか、既に宮坂副知事にもUPGRADE with TOKYO運営事務局にも情報提供済みですが。

*2:表のオリジナル含め、Maplatの基本的な機能はこちらのリンクで見ていただくことができます。>> http://bit.ly/maplat_flyer

*3:専門用語で「同相変換」というものを保証できます。Strolyはその保証ができず、双方向に変換した際に元の場所に戻ってくる保証がありません。

Apple地図で小字が大大と地図面に表示されるのは仕様なのか?

約一年前に、Facebookに以下のような投稿したんだけど、

某超大手地図サービスにデータ解釈のバグ見つけた。 マニアックといえばマニアックだが、普通に普段使ってれば気付く範囲に出てくるバグ。 関係者にレポートしたのでいずれ直ると思うが、うちの会社も今日本地図対応しようとしてるけど、実装部隊に日本人いないので、ちゃんと解釈できるのかやきもきしたり絶望的になったりしてた。 でもあれほどの巨大サービスでもまだ解釈バグあるんだから、うちも公開してからちょっとずつ叩かれて直せばいいかー、と少し気が楽になった。

これ、1年経っても直ってないけど、この地図サービス的には仕様という判断でいいのだろうか?
どこのサービスか明かすとAppleの地図で、バグ?の内容は、正式住所じゃない小字部分(例:奈良市高畑町の小字、破石町、本薬師町など)が、あたかも住所でございと表示されてる問題なのだけど。

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これ、生じてる原因は、Appleが使ってるiPCの住所データには小字か小字じゃないかを判定するフラグが付いてるんだけど、それを無視してデータ投入してるから。

 

ちなみに、Google Mapでも、今年4月の地図データ変更直後には、同じ問題が起きていた。
それが、データ変更後のGoogle Mapsが住所データはiPCのデータを使っている、と私が判定した根拠の一つだったんだけど、今見たら直っている。

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直った理由が、小字フラグをきちんと判定するロジックに修正したのか、それともそもそもまた違うデータソースに変えたのかはまだ不明。

オープンデータの文脈で見た場合の、StrolyとMaplatの比較について

先日、OpenStreetMap界隈の人とオープンデータやMaplatについて議論したけど、オープンデータの文脈でMaplatについて強調しておきたい点は、Strolyはオープンデータを消費するだけのプラットフォームにしかならないのに対し、Maplatはオープンデータを新たに生み出す基盤にもなり得る点です。

StrolyもMaplatも、古地図などの地図画像と、それを現実に結び付けるマッピングデータの組み合わせで動作する点は違いがありません。 が、Strolyは、オープンデータなどで他所様で公開されている地図画像を利用するだけで、自らのプラットフォームで生み出すマッピングデータについて、その帰属ライセンスを明らかにする事を、明示的に要求されてもこれまで全く行っていません。 つまり、Strolyはオープンデータの文脈において、他者の生み出したオープンデータを消費するだけで生み出すことのない、オープンデータのブラックホールでしかありません。

それと比べてMaplatは、そういうStrolyへの批判を視野に入れて開発されたこともあり、マッピングデータのライセンスをデータ中に明示できるように作られています。 つまり、Maplatはオープンデータを消費するだけではなく、生み出す基盤としても機能するという点が、オープンデータの観点から見たStrolyとMaplatの大きな違いです。 この違いを意識して、オープンデータ界隈の方々がもっとMaplatに興味を持っていただけると嬉しいです。

Stroly社社長の高橋真知さんに、Strolyの競合技術比較と特許に関する疑義について内容証明を送りました

最近このブログで取り上げている、Stroly社と私のMaplatの間での競合技術比較(Maplatが「線を線に変換する」新機能に対応しました。実証サンプルとして宇野バスのバス運行路線図Webアプリ作成。 - ちずぶらりHackers)や、Stroly社の特許に関する疑義(Stroly社の特許の価値を検証してみる - ちずぶらりHackers)について、Stroly社社長の高橋真知さんに、2019年8月12日投函で内容証明を送りました。
内容証明といっても、何かを要求するとかそういうものではなく、内容はあとでこの記事の末尾にも引用しますが、単に競合技術比較や特許に関する疑義を提供する記事へのポインタを列挙した程度のものになります。
送った目的は、今後同社が追加投資を募るための投資家への技術プレゼンをする際や、あるいは案件獲得のために見込み顧客へ技術プレゼンをする際レベルまで含め、「競合技術のない、世界唯一の技術です、特許で守られてもいます」などといった虚偽のプレゼンをすることがないよう、Maplatの存在やそれとの技術比較、また特許への疑義などを「知らなかった」等と逃げられることのないよう、虚偽のプレゼンをすれば本日以降、確実に「意図的に虚偽を伝えた、嘘をついた」と言える状況を整えるためです。

もちろん、内容証明の中でも書きましたが、これらの技術比較や特許への疑義は完全に私の方からの一方的な主観ですので、適切な反論や否定見解をStroly社側がもしプレゼンの場で加えることができれば、今後も投資や受注がゼロになるということはないでしょう。
また、Stroly社が現在、ソリューションの売りを古地図を扱う技術そのものから、古地図絵地図プラットフォーマーとしての価値の方に軸ずらししようとされているのは感じるので、その辺でうまく訴求できれば、同様に今後も投資や受注がゼロになるということはないでしょう。
しかしながら、より性能の高いMaplatがオープンソースで出ている以上、単なるプラットフォーマーだとより大きな資金で競合が参入することは極めて容易ですし、先行優位性についても数百万件、数千万件先行しているならばともかく、現在Stroly社が所有しているであろう1万件程度のコンテンツでは、とても先行優位などと言えるレベルではありません。
やはり、プラットフォーム事業を展開するにしてもそれを裏打ちするのはより優秀な要素技術、ということになると思われるので、その意味でもこの内容証明受領後、Stroly社が誠実な技術プレゼンに移行した場合はゼロにはならなくても投資や案件の成約が著しく困難になることが予想されますし、逆に今後Stroly社の投資や案件の成約がこれまでと変わらないペースで続くようならば、同社は不誠実な、虚偽を含むプレゼンをその後も続けている蓋然性が高くなります。
そうした不誠実な、虚偽を含むプレゼンをStroly社が今後もする、と仮定した場合に、何らかの理由でStroly社のプレゼン先の方がMaplatの存在やStroly社特許への疑義に気づいた場合、Stroly社が気づいていなかったからそれらを無視したプレゼンをしたのではなく、確実に嘘をついた、投資家や見込み顧客に虚偽を意図的に伝えた、ということが証明できる状況を作るべく、行動したのが今回の内容証明とこの記事の目的になります。

id:otsune とかこういうこと好きそうなのでメンションしておく。

以下、Stroly社に送った内容証明全文です。


株式会社Stroly
高橋真知様

Maplat大塚です。
お世話になっております。
突然内容証明を送らせていただきますが、特に要求事項などがあるわけではございません。
昨今、当方では御社のお持ちの特許や技術の検証や、当方の技術と比較した記事や、学会発表などを何度か行わせていただいておりますが、御社が今後行われるであろう資金調達の場での技術プレゼンテーションや、あるいは日々の営業活動の中でのプレゼンはじめ、様々な技術アピールの場で事実と異なる内容を発表される場合に、Maplatの存在やその比較、検証内容を御社が「知らなかった」と逃げられる余地を全くなくすよう、当方主観からの分析内容を証明できる形で高橋様に共有させていただくのが目的となります。

共有したい記事、発表内容などの一覧は以下のようになります。
Maplatの国際地図学会2019での提出論文
http://bit.ly/maplat_paper_icc
Maplatの国際地図学会2019での発表資料
http://bit.ly/maplat_icc
Maplatの機能概要説明チラシ(Strolyとの比較あり)
http://bit.ly/maplat_flyer
最新の「線を線に変換する機能」含む、MaplatとStrolyの機能比較記事
http://bit.ly/maplat_line2line
御社特許の価値分析記事
http://bit.ly/stroly_patent

もちろん、上記は単なるURLの羅列ですので、実際に上記を訪問してその内容を確認されるか否かは高橋様の自由ではあります。
しかしながら、高橋様は当然出資者から投資を受けて会社を経営する者として、競合技術などの動向調査、対策のマネージメントなども職責にある方である以上、情報の方からそちらに来ているにも関わらずそれを確認することを怠ることは背任的な行為にあたるのではないかと存じますので、高橋様が上記URLを確認されるようがされまいが、私がこれを証明できる形で送った以上、今後御社はこれらの比較や分析の存在について「知らなかった」と言い逃れはできない状況になったと考えます。

また、やはりこれも当然、上記の各分析、比較は当方の主観に基づくものであり、御社としては異なる見解、反論などもおありだろうと存じます。
そういった反論、御社見解の展開は、もし公開の場で表明いただけるならば、私のブログなどの表現の場でもきっちり紹介させていただきますし(私は御社を打ち倒そうとは考えておりますが、正々堂々と打ち倒したいと考えておりますので、反論などをご提供いただければ責任持って当方でも公開させていただきます)、あるいは公開しない営業や投資家向けプレゼンの場のみで反論、見解を展開されるのも自由です。
また昨今、御社が私の技術と真っ向競合する古地図絵地図を扱う技術そのものを売りとするのではなく、古地図絵地図を共有できるプラットフォームを売りにする形に軸ずらしを進めておられているのも感じておりますので、その軸ずらしの方向性が評価されて、要素技術としてはMaplatに負けていたとしてもアプリケーションが評価されて追加投資を受ける可能性もあるでしょう。
その意味で、当方がこのように見解を御社に共有したからと言って、必ずしも100%御社が投資家様などにアピールできることがなくなるわけでもなく、追加投資などが絶対に見込まれないわけではないという点は理解しております。

ただ、Maplatを担ぐ私の方も、余暇の範囲内でぼちぼちですが投資を募る活動なども若干はやっておりますが、Maplat技術の優位性、有用性は評価いただいても、プラットフォームサービス事業に投資するという話になった際に、「Maplatがオープンソースで展開しているのであれば、より大きな資本が資金を投下してオープンソースMaplatを使ったプラットフォーム事業に乗り出した場合、勝てる理由がないのではないか、というような指摘をいただくなどして、現状投資が成約したことはありません。
ましてやMaplatに劣る要素技術をベースにされておられる御社でも、単にプラットフォーム事業で訴求する形だと同様の疑問を投資家様に持たれるのは当然ではないかと考えており、相当すばらしい極秘の腹案を示されるのならばわかりませんが、単なるプラットフォーム事業の訴求だけで追加の投資が得られる蓋然性は極めて低いと当方では見ております。
先行して事業されていることによるコンテンツの確保も、何百万何千万件クラスのコンテンツをすでにお持ちであれば確かに大きな投資を呼び込む要素になり得ますが、1万件前後の今の御社のコンテンツ数程度であれば、大きな投資を呼び込める訴求要素になるとは到底思えません。
投資を呼び込める事業計画はやはり、要素技術での優位が前提にあっての、プラットフォーム事業であると思うのですが、その意味では当内容証明を受け取られた今後の御社は、投資家や営業先でのプレゼンの際に、競合技術比較や特許に対して向けられた疑義に対して見解を示すことが道義的に必須になると感じており、もし今後の営業や投資家向けプレゼンの中で、Maplatとの競合分析や特許に示された疑義に反論などもなく一切触れないままのプレゼンを続けられたとして、何らかの形で後にMaplatとの機能比較や特許への疑義がプレゼン先に知られた場合、「知らなかった」というような言い逃れはできなくなった点は指摘、強調させていただきます。

さて、今回お伝えしたい技術比較や特許への疑義などの資料は以上になりますが、それに加えまして、これまでも何度か様々な経路で御社にはお伝えしておりますが、適切なライセンス費用などを支払っていただけるならば、MaplatをStrolyの代替エンジンとして差し替えていただくのも全然構わない、という点はお伝えしておきます。
ライセンス費用、というのはもしStrolyのエンジンをMaplatに置き換える場合、私の協力で御社向けだけのクローズソース版Maplatを作らないといけなくなると思いますので、それに対するMaplatの知的財産権ライセンスの名目になりますが、Maplatはオープンソースですので、もし私の手助け一切無しに御社の尽力だけでStrolyエンジンのMaplat差し替えを実現いただき、必要なライセンス表記などもサービスに加えていただけるならば、別に当方にライセンス費用を一切払うこともなくエンジンをMaplatに差し替えていただくことも可能です。
これにより、Stroly技術より優秀なMaplat技術をベースにした、先行優位もあるプラットフォーム事業を投資家や営業先にアピールできるので、御社にとっても得こそ多くあれ損はないのではないかと存じます。
よろしければご検討いただければ幸いです。

以上、よろしくお願いいたします。


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