Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

Stroly社社長の高橋真知さんに、Strolyの競合技術比較と特許に関する疑義について内容証明を送りました

最近このブログで取り上げている、Stroly社と私のMaplatの間での競合技術比較(Maplatが「線を線に変換する」新機能に対応しました。実証サンプルとして宇野バスのバス運行路線図Webアプリ作成。 - ちずぶらりHackers)や、Stroly社の特許に関する疑義(Stroly社の特許の価値を検証してみる - ちずぶらりHackers)について、Stroly社社長の高橋真知さんに、2019年8月12日投函で内容証明を送りました。
内容証明といっても、何かを要求するとかそういうものではなく、内容はあとでこの記事の末尾にも引用しますが、単に競合技術比較や特許に関する疑義を提供する記事へのポインタを列挙した程度のものになります。
送った目的は、今後同社が追加投資を募るための投資家への技術プレゼンをする際や、あるいは案件獲得のために見込み顧客へ技術プレゼンをする際レベルまで含め、「競合技術のない、世界唯一の技術です、特許で守られてもいます」などといった虚偽のプレゼンをすることがないよう、Maplatの存在やそれとの技術比較、また特許への疑義などを「知らなかった」等と逃げられることのないよう、虚偽のプレゼンをすれば本日以降、確実に「意図的に虚偽を伝えた、嘘をついた」と言える状況を整えるためです。

もちろん、内容証明の中でも書きましたが、これらの技術比較や特許への疑義は完全に私の方からの一方的な主観ですので、適切な反論や否定見解をStroly社側がもしプレゼンの場で加えることができれば、今後も投資や受注がゼロになるということはないでしょう。
また、Stroly社が現在、ソリューションの売りを古地図を扱う技術そのものから、古地図絵地図プラットフォーマーとしての価値の方に軸ずらししようとされているのは感じるので、その辺でうまく訴求できれば、同様に今後も投資や受注がゼロになるということはないでしょう。
しかしながら、より性能の高いMaplatがオープンソースで出ている以上、単なるプラットフォーマーだとより大きな資金で競合が参入することは極めて容易ですし、先行優位性についても数百万件、数千万件先行しているならばともかく、現在Stroly社が所有しているであろう1万件程度のコンテンツでは、とても先行優位などと言えるレベルではありません。
やはり、プラットフォーム事業を展開するにしてもそれを裏打ちするのはより優秀な要素技術、ということになると思われるので、その意味でもこの内容証明受領後、Stroly社が誠実な技術プレゼンに移行した場合はゼロにはならなくても投資や案件の成約が著しく困難になることが予想されますし、逆に今後Stroly社の投資や案件の成約がこれまでと変わらないペースで続くようならば、同社は不誠実な、虚偽を含むプレゼンをその後も続けている蓋然性が高くなります。
そうした不誠実な、虚偽を含むプレゼンをStroly社が今後もする、と仮定した場合に、何らかの理由でStroly社のプレゼン先の方がMaplatの存在やStroly社特許への疑義に気づいた場合、Stroly社が気づいていなかったからそれらを無視したプレゼンをしたのではなく、確実に嘘をついた、投資家や見込み顧客に虚偽を意図的に伝えた、ということが証明できる状況を作るべく、行動したのが今回の内容証明とこの記事の目的になります。

id:otsune とかこういうこと好きそうなのでメンションしておく。

以下、Stroly社に送った内容証明全文です。


株式会社Stroly
高橋真知様

Maplat大塚です。
お世話になっております。
突然内容証明を送らせていただきますが、特に要求事項などがあるわけではございません。
昨今、当方では御社のお持ちの特許や技術の検証や、当方の技術と比較した記事や、学会発表などを何度か行わせていただいておりますが、御社が今後行われるであろう資金調達の場での技術プレゼンテーションや、あるいは日々の営業活動の中でのプレゼンはじめ、様々な技術アピールの場で事実と異なる内容を発表される場合に、Maplatの存在やその比較、検証内容を御社が「知らなかった」と逃げられる余地を全くなくすよう、当方主観からの分析内容を証明できる形で高橋様に共有させていただくのが目的となります。

共有したい記事、発表内容などの一覧は以下のようになります。
Maplatの国際地図学会2019での提出論文
http://bit.ly/maplat_paper_icc
Maplatの国際地図学会2019での発表資料
http://bit.ly/maplat_icc
Maplatの機能概要説明チラシ(Strolyとの比較あり)
http://bit.ly/maplat_flyer
最新の「線を線に変換する機能」含む、MaplatとStrolyの機能比較記事
http://bit.ly/maplat_line2line
御社特許の価値分析記事
http://bit.ly/stroly_patent

もちろん、上記は単なるURLの羅列ですので、実際に上記を訪問してその内容を確認されるか否かは高橋様の自由ではあります。
しかしながら、高橋様は当然出資者から投資を受けて会社を経営する者として、競合技術などの動向調査、対策のマネージメントなども職責にある方である以上、情報の方からそちらに来ているにも関わらずそれを確認することを怠ることは背任的な行為にあたるのではないかと存じますので、高橋様が上記URLを確認されるようがされまいが、私がこれを証明できる形で送った以上、今後御社はこれらの比較や分析の存在について「知らなかった」と言い逃れはできない状況になったと考えます。

また、やはりこれも当然、上記の各分析、比較は当方の主観に基づくものであり、御社としては異なる見解、反論などもおありだろうと存じます。
そういった反論、御社見解の展開は、もし公開の場で表明いただけるならば、私のブログなどの表現の場でもきっちり紹介させていただきますし(私は御社を打ち倒そうとは考えておりますが、正々堂々と打ち倒したいと考えておりますので、反論などをご提供いただければ責任持って当方でも公開させていただきます)、あるいは公開しない営業や投資家向けプレゼンの場のみで反論、見解を展開されるのも自由です。
また昨今、御社が私の技術と真っ向競合する古地図絵地図を扱う技術そのものを売りとするのではなく、古地図絵地図を共有できるプラットフォームを売りにする形に軸ずらしを進めておられているのも感じておりますので、その軸ずらしの方向性が評価されて、要素技術としてはMaplatに負けていたとしてもアプリケーションが評価されて追加投資を受ける可能性もあるでしょう。
その意味で、当方がこのように見解を御社に共有したからと言って、必ずしも100%御社が投資家様などにアピールできることがなくなるわけでもなく、追加投資などが絶対に見込まれないわけではないという点は理解しております。

ただ、Maplatを担ぐ私の方も、余暇の範囲内でぼちぼちですが投資を募る活動なども若干はやっておりますが、Maplat技術の優位性、有用性は評価いただいても、プラットフォームサービス事業に投資するという話になった際に、「Maplatがオープンソースで展開しているのであれば、より大きな資本が資金を投下してオープンソースMaplatを使ったプラットフォーム事業に乗り出した場合、勝てる理由がないのではないか、というような指摘をいただくなどして、現状投資が成約したことはありません。
ましてやMaplatに劣る要素技術をベースにされておられる御社でも、単にプラットフォーム事業で訴求する形だと同様の疑問を投資家様に持たれるのは当然ではないかと考えており、相当すばらしい極秘の腹案を示されるのならばわかりませんが、単なるプラットフォーム事業の訴求だけで追加の投資が得られる蓋然性は極めて低いと当方では見ております。
先行して事業されていることによるコンテンツの確保も、何百万何千万件クラスのコンテンツをすでにお持ちであれば確かに大きな投資を呼び込む要素になり得ますが、1万件前後の今の御社のコンテンツ数程度であれば、大きな投資を呼び込める訴求要素になるとは到底思えません。
投資を呼び込める事業計画はやはり、要素技術での優位が前提にあっての、プラットフォーム事業であると思うのですが、その意味では当内容証明を受け取られた今後の御社は、投資家や営業先でのプレゼンの際に、競合技術比較や特許に対して向けられた疑義に対して見解を示すことが道義的に必須になると感じており、もし今後の営業や投資家向けプレゼンの中で、Maplatとの競合分析や特許に示された疑義に反論などもなく一切触れないままのプレゼンを続けられたとして、何らかの形で後にMaplatとの機能比較や特許への疑義がプレゼン先に知られた場合、「知らなかった」というような言い逃れはできなくなった点は指摘、強調させていただきます。

さて、今回お伝えしたい技術比較や特許への疑義などの資料は以上になりますが、それに加えまして、これまでも何度か様々な経路で御社にはお伝えしておりますが、適切なライセンス費用などを支払っていただけるならば、MaplatをStrolyの代替エンジンとして差し替えていただくのも全然構わない、という点はお伝えしておきます。
ライセンス費用、というのはもしStrolyのエンジンをMaplatに置き換える場合、私の協力で御社向けだけのクローズソース版Maplatを作らないといけなくなると思いますので、それに対するMaplatの知的財産権ライセンスの名目になりますが、Maplatはオープンソースですので、もし私の手助け一切無しに御社の尽力だけでStrolyエンジンのMaplat差し替えを実現いただき、必要なライセンス表記などもサービスに加えていただけるならば、別に当方にライセンス費用を一切払うこともなくエンジンをMaplatに差し替えていただくことも可能です。
これにより、Stroly技術より優秀なMaplat技術をベースにした、先行優位もあるプラットフォーム事業を投資家や営業先にアピールできるので、御社にとっても得こそ多くあれ損はないのではないかと存じます。
よろしければご検討いただければ幸いです。

以上、よろしくお願いいたします。


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