Code for History

"Code for History"はIT技術を歴史学上の問題の解決に使うコミュニティです。強調したいのは、我々にとってIT技術は「手段」であって「目的」ではありません。「目的」は歴史学上の問題を解決する事であって、必要であればITでない手段も活用します。常に最優先なのは、問題を解決することです。

Code for Historyが株式会社コギトとその製品ambula mapをオープンコミュニティの敵とみなす理由

元から敵対しているStrolyだけでなく、最近の私は京都の株式会社コギトとその会社のambula mapという製品も、敵とみなして非難批判しています。
ambula mapはCode for HistoryのMaplatライブラリを使ってくれているプロダクトで、本来ならば味方と考えていいはずのプロダクトですが、私は今は敵視し、絶対ぶっ潰すことを心に誓っています。
なぜそのような状況に陥っているかをこの記事で説明します。

忙しいので3行で説明しろ、というあなたに

  • ambula mapに古地図マッピングの間違いや位置取得脆弱性があったので指摘したところ、「無償で協力してもらえますかね?」などと失礼な打診を複数回、まずされた
  • 逆に私が協力を仰ぎたいところ、対応するのが私の夢だったけれど法人格がないと実施が難しいようなことに協力を要請したところ、二言目には「それに協力しなければいけないと、契約書のどこかに書いてありますかね?」と言われ一切協力してもらえなかった

まあ、この2つだけで、オープンコミュニティ界隈の人々には「コギト、滅ぼすべし」と思ってもらえると思います。

もう少し詳しく

なぜ、Code for History (Maplat) 活動にもっとも金を出している主体なのに敵とみなされるか

Code for Historyの活動は、いろんな主体からの金銭的支援をいただいて支えていただいています。
純粋に寄付として年10万円以上を支援してくださる主体もおられますし、またシステムを納入した対価として金銭を支払ってくださる主体もあります。

そんな中で、株式会社コギトは正確には数えていませんが、現在まで50万円程度をCode for Historyに支払っており、現在のところ単一主体としては最大の額を支払ってくれています。
にもかかわらず、なぜ敵対視されるか?
それは、株式会社コギトが支払った額は、気持ちよく出してくれた額が1銭としてないからです。
50万円も出してくれたにもかかわらず、それはすべて、以下のどちらかでしかないからです。

  • そういうことは金をもらってもやりたくないから、頼むからやらせないでくれ、とこちらが頼んだにもかかわらず、やれと押し付けたことに対する対価(こちらとしては、どうしても聞いてくれないので、最初に無理を引き受けることでこちらの願いも聞いてくれる協力関係が築けるだろうと思い、最終的にはこちらが折れて引き受けた)
  • そうして無理を聞いたりして無数の貸しを作ったにも関わらず、協力関係にあるとは思えないほど一切、本当に一切こちらの依頼は聞いてくれないので、これはこれ以上この会社と付き合っても一方的に搾取されるばかりなので、これまでの協力の幾分かには見合う手切れ金だけ分捕って関係を断とう、と考え、知的財産的に彼らがある程度の額を払わざるを得なくなる状況を作り、手切れ金的に払わせた金

こうしてクローズソースでの開発を強要された

時系列的に語るため、後者の詳細はのちに述べるとして、前者を話しましょう。

コギト社がMaplatを採用してambula mapを作るようになったきっかけは、彼らがMaplatを見つけ、ambula mapを開発するために必須の部品として使いたいと声をかけてきたことがきっかけでした。
対Strolyで仲間が欲しかった私としては、ぜひ協力体制を敷きましょう、と答え、その声をかけていただいた最初期から、友人の絵地図師を同社に紹介したり、考えられるあらゆる協力を無償で提供してきました。
ただ、さすがにambula mapに採用するために足りない機能をMaplatに加えるための実装作業は、相当の労働集約が要りますし、工数を要求することになりました。

Maplatに他者の要求で機能を追加するにあたり、私の対応は基本的に一貫しています。
Maplatはオープンソースなので、必要な機能があって、こんな機能を付けて欲しいとレポジトリのissueで要請してもらえれば、その要求に私が納得して採用すれば、無償で対応します。
ただしその場合、無償の活動ですから、いつ実装するかはこっちの気まぐれで、来週かも3年後かもしれず、時期的な保証など一切ありませんし、そもそも要求を採用するかどうかの保証もありません。
もし何らかの開発に間に合わせるためなどで、ある時期までの開発を確実に依頼したいのであれば、私はそれにコミットすることに対して対価を要求します。
その開発成果は誰でもオープンソースにするのを前提で受けるので、なぜその開発対価を払わなければならないのかと思われるかもしれませんが、それは開発することに対する対価ではなく、必ず開発項目として採用し完了時期をコミットして引き受けることに対する対価として考えています。

コギト社が追加機能開発を依頼してきた時も、私はオープンソースにすることは前提ですと伝えたうえで、開発に関する時間単価テーブルをコギト社に提示しました。
ただその際に、私の方も余計なことをせずに画一料金テーブルで提示するか、あるいはオープンソースにできない部分は自社で全部開発してくれと言えばよかったのかもしれませんが、全部をオープンソースでといっても、たとえば自社システムと連携するような機能があればそれはオープンソースにはできないだろう、そういった機能であっても同一人物が一貫して開発した方が効率が良いケースもあるだろう、なのでオープンソースにできないクローズソースにする必要があるけれど私に開発して欲しい機能があれば、その場合はこの料金テーブルで引き受けます、と2段階料金テーブルを提示しました。
飽くまで基本は全部をオープンソースにするのが前提、クローズソースは例外的対応ということは十分に伝えたうえで提示したのですが、それを受けてコギト社から来た依頼は耳を疑うものでした「全部をクローズソースで開発してください」。

私はあわてました。
コギト社が要求してきた機能は、コギトが要求してくる前から、将来的にはMaplatにつけようと思っていた機能も多く含まれていました。
それをクローズソースで開発しろと言われると、当然お金をもらってクローズソースで開発したコードはオープンソース側に流用できないですから、同じ機能を全く違う2通りのやり方で開発しなければいけなくなり、オープンソースMaplatの開発を完全に阻害します。
もしコギト社がオープンソースにすることを了承したうえでその対価を払ってくれていれば、みんなが使える機能の開発対価を払ってくれた点でコギト社はコミュニティへの紛うことなき貢献者になっていたはずなのですが、クローズソースで開発するならば、彼らはコミュニティの邪魔しかしていません。
彼らは開発対価を払うかもしれませんが、それは自分たちだけが利益を受けるクローズソースの開発対価だけであり、同じ機能のオープンソース版の開発対価は払っていないどころか、クローズソース版を作らせることでオープンソース版の開発をより困難にしたという意味で、完全にオープンソース活動の邪魔しかしていないことになります。

私は実働の対価は当然もらいますが、別にお金稼ぎを第一目的として開発活動をおこなっているわけではなく、オープンソース活動が発展することを願って活動しているわけですから、こんな開発は2倍、3倍の額をもらってもやりたくありません。
ですから、彼らが要求してくる前から十分に説明していたつもりではありましたが改めて、私がやっているのは受託開発業務ではなくオープンソース活動なのだから、オープンソースとクローズソースの2段階の単価テーブルを提示はしましたがそれは全部をクローズでも受けるという意味では全くなくて、原則オープンソースでよほどの例外的な場合のみクローズソースでも受けるという意味だったのだ、だから撤回してくれ、ということを同社に懇願しました。
しかし、コギト社の判断は変わりませんでした「社内会議でクロースソースで開発すると決まったのですから、それで開発してください」。
この時点でコギト社への協力を断っていれば、その後のトラブルもなかったのかもしれません。
しかし当時Strolyという会社を相手に個人で孤軍奮闘していた身としては、どうしても一緒に戦列に並んでくれる法人の協力者は欲しくてたまりませんでした。
そこで、いくら頼んでもコギト社が折れてくれないので、これを引き受けて貸しにすれば今後大きな協力を引き出せるだろうと考え、こちらが折れました。

積み重なる貸し:「無償で対応お願いできますか?」

考えてみれば、この時点でボタンの掛け違えがあったのだろうと思います。
こちらとしては、死んでもやりたくないようなことを引き受けたのだから、このクローズソース開発を引き受けたことは、いつかは返してもらえるコギト社に対する大きな貸しになると思っていました。
しかしコギト社にとっては、ちょっとお小遣いみたいな金を渡しておけば言うことを聞く弱っちい外注に、一つ仕事をまわしてやった、くらいの感覚でしかなかったのではないでしょうか。
結果、こちらとしてはむちゃくちゃ貸しを作っている意識にもかかわらず、彼らとしては単に対価を払った開発発注でしかないので、こちらが貸しの返還を求めて協力を申し出ても、なぜそんなことしないといけないの?最初に書いた、「そんなことすると契約書に書いてありますか?」という意識だったのかもしれません。

しかしまあ、仮に最初のクローズソース開発は借りだと彼らが捉えていなかったとしても、その後こちらに複数回「無償で対応してもらえますか?」などと厚顔無恥にも打診してきた時点で、彼らに「そんなことすると契約書に書いてありますか?」などという資格はないわけですが。
むしろこちらの方が、「無償で対応してもらえますか?」と問われれば「そんなことすると契約書に書いてありますか?」と答えるべきだったような立場です。

具体的にどういうシチュエーションでこのセリフを言われたのかというと、コギト社に貸しを作って協力関係になったつもりでいた私は、当然ながら協力関係というのは双務的なものですので、こちらからambula mapへの協力も自発的に、積極的に行いました。
大した労力を伴わない協力としては、友人の絵地図師のコギト社への紹介から、自分がメディアに取り上げられたりSNSに記事を書いたりする際は必ず一緒にambula mapも紹介したりもしましたし、 大きな協力では、コギト社がambulamapのために行った古地図のマッピングが、近代以降に開かれた通りを気づかずに江戸時代の古地図と対応させて無茶苦茶なマッピングになっていた点を、検証して指摘したり、ambula mapで行われたポイントラリーイベントで、同アプリが位置情報技術に詳しければ対策を打っていて当たり前の最低限の位置詐称対策をやっていなかったために、悪意あるユーザが操作すれば誰でも現地に行かずに全タスククリアできる脆弱性があったのを、これも検証して指摘したりしました。
これらは検証して指摘するだけでも労力を使い大変だったのですが、指摘するだけでは素人には対処法がわからないので、間違わないようにマッピングするためのコツの資料の作成や、位置詐称対策のやり方の情報提供など、相当の労力を費やしました。
これらの時、コギト社の対向役であった営業部長に言われた言葉が、それらを「無償で対応してもらえませんか?」という言葉でした。
私の記憶が確かならば、確か、マッピングの間違い指摘時と位置詐称脆弱性の指摘時、両方ともいわれた記憶があります。
私は両方とも、指摘だけでなく対処法の資料作成まで、結果的に無償で対応しましたが、さすがに2回目の時は少しキレて、「協力関係にあるから協力はしますけど、誰でも持っているわけではない、私の貴重な過去の経験の積み重ね、ノウハウを惜しみなく提供しているのに、さすがにその物言いは失礼ではないですか?」的なことを苦言した記憶があります。
それに対しての向こうの返答は、「すみません、でも営業なので、少しでもコストを減らしたりできる可能性にはまず打診してしまうのです」というものでしたが、いや、それ全然失礼なことをいう言い訳にも何にもなってないから。舐めとんのか。

このように、たとえ最初のクローズドソース開発を貸しだと感じていなかったと仮にしても、その後も数多くの協力をこちらは無償でしているのみならず、厚顔無恥にも自分たちの方からも無償を要求するようなことをしておきながら、つまりは明確に貸しになるようなことを自分たちで能動的に要求しておきながら、翻って自分たちが協力を要請される側に回れば「契約書にないでしょ?」と逃げて一切、本当に一切協力しなかったのが、彼らコギト社であり、それゆえにこちらは怒っているのです。

私が協力してほしかったこと(1):Maplatを中心としたエコシステムを作りたかった

では、私はコギト社に何を協力してほしかったのでしょうか。
もちろん、いろんな次元の話があります。
Strolyに対応するために足並みをそろえた施策を取って欲しい、特に私は20年以上位置情報ビジネスをやってきたノウハウがありますから、何か位置情報コンテンツが施策を取るのに効率の良いやり方は生き字引のように頭の中にありますので、非効率な施策を打つ前に一言相談してほしかった、みたいなこともありますし、
あるいは私が自分の活動でことあるごとにambula mapを宣伝してきたように、ambula map側にも露出することがあればMaplatを宣伝して欲しい、といったようなこともありました。 そういった小さい個別の希望とは別に(こういった個別の要請にも、少々宣伝してもらったことを除きコギト社は一切協力してくれることはありませんでしたが)、大きな方向性として私が彼らに協力してほしかったことは、

  • コギト社のビジネスを軸とした、Maplat協力者のエコシステムを構築してほしかった
  • 私が打ちたいMaplatの次の一手のうち、法人格がないと難しいものについて、一緒に取り組んでほしかった

といったものでしたが、このいずれにも彼らは協力してくれることはありませんでした。

前者についてですが、私はStrolyに対抗してMaplatを作っており、システムの発揮する性能としてはMaplatはStrolyをはるかに凌駕していますが、しかし技術の開発だけではStrolyに勝つことはできません。
システムにはそれを扱うコンテンツ - StrolyやMaplatの場合は地図 - が必要ですが、技術開発からコンテンツ制作まで1人で回しているのでは、全く勝負になりません(まあ、そういいつつ現状のMaplatはほぼ9割のコンテンツを私が自分で作成していますが)。
幸い、私にはStroly時代の同僚で、おそらく同じようにStrolyに反感を持つ優秀なマッパーの友人がいますので、どうしても数コンテンツを作らないといけない時は彼女に頼んでデータを作成してもらっています。
しかしながら、いくら私自身が開発をオープンソースだから無償でやっているとはいえ、「だから地図コンテンツデータ作成も無償でやれ」と彼女に強いることはできません。
むしろ、「Strolyに反感があるから協力するだけでなく、Maplatに協力すればお金も入ってとても得する」というポジティブサイクルを回すために、対価はきっちりと支払わないといけません。
なので、私はたとえ最終成果物が売り上げが立つわけではないボランタリーなアプリケーションでも、それに協力してもらうときは基本、自分の小遣いを削ってでも対価を払って協力してもらってきました。

しかし、私は幸いそこまでお金に困っていませんが、とはいえ私の小遣いで出せる程度の仕事量だと、とてもむちゃくちゃ儲かって嬉しい、と思ってもらえるレベルの仕事量は友人に振ることができません。
そこまで定期的にマッピングの仕事も振れるようにしようと思えば、きっちり事業としてMaplatを用いたビジネスを展開してくれる会社、法人を探して、そこが受注した仕事のマッピング仕事を振ってもらうしかありません。
マッピングに限らず、絵地図師、イラストレイター、その他の技能を持った人々含め、Maplatで事業する会社さんを軸として、Maplatに関わった人が少しずつ多く仕事が入ってラッキー!と思ってもらえるエコシステムを作りたいと思っていることが、私はコギト社含むMaplatで事業する会社さんに協力してきた理由の1つです。
決して、Maplatを使っても社外には一切還元せず、独占的に儲けたい!と思っているような会社に協力したいと思って協力してきたわけでもありません。

なので私は、私個人には定期的に仕事を振ることを約束するようなことは一切してもらわなくていいが、Maplatを中心にMaplatに関わってくれた人がみんな幸せになるようなエコシステムを作りたいので、全部でなくてもいいから、地図案件を受注すればその一部をMaplat協力者にマッピング発注して欲しい、ということを打診しました。
ところが彼らの返答は、「いや、まだambula mapはビジネスとして成り立っていないから、コスト削減のために内製でマッピングする、外注はしない」というものでした。
いや、ビジネスとして成り立っていないから協力しないというのであれば、Code for Historyの活動自体が別にビジネスとして成り立っていないのですから、てめえらの方こそ、こっちに「たりない機能開発してくれませんか?」「無償でやってくれませんか?」とか協力要請してくること自体おかしいだろ、つう話ですよ。
お互い金にならないところから始めてるんだから、金になってから協力体勢築くっちゅううんなら何一つ一切進まないわけで、金にならないところからお互いに望む方向性を目指して、お互いに利益になるところで協力し合うからこその協力体制なわけで、何自分の方だけ利益確定するまで何もしない、というのが当然のように思ってるんだっつー話です。

ましてや、全部のマッピングをこちらに回せと言ってるわけでもなく、一部を回してくれと言ってただけなんですよね。
コギト側もすぐ案件を受注できるわけではなくて、しばらくは費用持ち出しでコンテンツを増やしたりしないといけなかったと思いますので(Code for Historyが持ち出しでコンテンツ増やしてるのと同様)、そんなマッピングを外注すれば単純に赤字になるだけですので、そんなものまでMaplat協力者に発注しろ、なんて一言も言ってないわけですよ。
純粋に受注した案件のマッピングの一部のみ回してくれれば、その発注費用は個別受注に対する経費、変動費として計上できるわけですから、別に赤字にもならずに外注できるわけです。
具体的には、マッピング外注しない場合に案件の価格を地図1枚当たり20万円として想定しているとすれば、それを単価23万円にするだけで、マッピングを3万円で外注しても赤字にはならないわけです。
明確な競争相手がいる市場で、少しでも低く定価をつけないと負ける事業であればこれは呑めないかもしれませんが、この事業は明確に価格競争する相手などないような事業ですので、定価なんてある程度自由に付けられるわけで、20万円を23万円にしたからと言って受注を逃すケースなんてきわめてレアだとしか思えないわけですよ。
なんでこの極めて妥当な、モデレートな要求が拒絶されたのか、全く理解に苦しみます。

それでも百歩譲って、コギト側が本当にあらゆる面でコストを絞っていて、少しでも早く事業化するために尽力していたというのであれば、理解してやることもできなくはないです。
しかし、実際にはコギトは、ambula map事業にはどう考えても全く必要のないコストを固定費として、案件があってもなくても支払わなければいけない固定費として、毎月支払ってるんですよね。
何のことかというと、以下に引用したインクリメントP社の現代地図に対するコストです。

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(c) インクリメントP

ambula mapは古地図と切り替える現代地図として、事業として成り立たないのであれば無償で使えるOpenStreetMapあたりを使ってもよさそうなものを、インクリメントP社の商用有償地図を使っています。
このインクリメントPの地図は、私15年ほど前に個人で彼らの地図の商用利用を打診したので知っているのですが、当時「大負けに負けて勉強して」と言われ提示された額が「月当たり10万円」だったので、たとえビジネスになっていようがいまいが、ビジネス成立するまで待って無償で使わせてくれるような製品じゃないんですよね。
15年前の情報とは言え、価格が安くなってるとは考えにくいですし、ましてや15年前の私の打診は個人としての打診だったことを考えると、どう考えても最低でも月10万円、コギト社はインクリメントP社に地図の利用代金を支払っているわけです。
コギトは敵にしてもいいですが別にインクリメントP社は敵に回すつもりはないですから、別にインクリメントP社の地図の出来が悪いとかそういう意図では全くないですが、しかしことambula mapというソリューションに限って言えば、Maplatは必須のコンポーネントですが、インクリメントP地図は全く「それである必要はない」コンポーネントです。
事業が成り立たなくて困るならば、無償のOpenStreetMapに切り替えても全く困らない代物です。
にもかかわらず、必須コンポーネントであるMaplatの、しかも個別案件の変動費に追い込めるマッピング費用には一切金は出せないと言いながら、全く必要ないコンポーネントでかつ案件の有無に関係ない固定費をインクリメントPに払い続けているって、どう考えても「クレイジー」としか言いようがないですよね。
結局、格好をつけたい業界仲間の友人がいる他社には支払いしつつ、吹けば飛ぶような弱い個人は適当にあしらっておけばいいという、歪んだ虚栄心、あるいは、鼎の軽重をまともに評価できない低能がゆえに招いた状況なんでしょうね。

私が協力してほしかったこと(2):法人でなければ取り組めないような案件への取り組みに協力してほしかった

Maplatで行ういろんな企画のうち、まあたいていのものは(持ち出しになることを恐れなければ)個人でもアクションを起こせるわけですが、しかしどうしても法人格がなければ難しい(というか相手にしてもらえない)ような案件もあります。
まあいろいろ考えられるとは思いますが、1つはIP(著作権など、知的所有権)の絡む案件、もっとわかりやすく言えばアニメや漫画なんかとのコラボですよね。 アニメの聖地で聖地巡礼マップが作られたり、あるいはスタンプラリーが行われたりというようなケースはよくありますが、そういったものを活用するソリューションとしてMaplat(やその派生物であるambula map)を使ってもらおうと思うと、個人の活動では基本相手にしてもらえず、法人としてアプローチすることが必要になります。

こういった事例もいくつか打診して断られましたが、一番逃した魚が大きく、それゆえに私も一番コギトに対して根に持っているのが、群馬県館林市の事例です。
2018年の正月、群馬県館林を舞台にした名作アニメ、「宇宙よりも遠い場所」(通称よりもい)が放映されました。
後に単なるアニメを超えて、ニューヨークタイムスでその年のアメリカ以外全世界のテレビ番組の中の優秀作10本の中に選ばれるなど、世界的に評価された超名作で、当然私を含めた熱狂的なファンが、聖地館林を盛り上げようと、自分たちで聖地巡礼マップを作成したり、現地の人たちも聖地巡礼者をもてなすために様々な施策をうったり、また私もMaplatで館林街歩きアプリを作成したりと、とても盛り上がりました(というか現在進行形で盛り上がっています)。
またこれもとても偶然ですが、ambula map担当でコギトでの私の対向をしていた営業部長も、実は館林出身といった不思議な一致もありました。
ambula map自体が、その少し前に京都で聖地巡礼マップを使った聖地巡礼スタンプラリー企画をやっていましたし、また私自身が、古地図絵地図利用システムや位置情報ゲームといった分野では、もしそれらを専門にあつかった日本史があれば普通に業界の先駆者として名前が載って当然レベルの第一人者です。
これだけ勢いのあるコンテンツなら、そのうち公式の聖地巡礼マップが作られたり、あるいは公式の聖地巡礼イベントが行われるはずだから、今のうちにファンコミュニティに浸透しておけば、きっと数年後にはambula mapを使って、館林で聖地巡礼マップを使った聖地巡礼スタンプラリーなどが実現できるはず、だから一緒に館林で提案活動を行いましょう、ということを持ちかけました。

が、コギト社の判断はNo GOでした。
私はあきらめきれなかったので、個人でも館林観光協会の会員になったりと、なんとか館林で観光イベントなどが立ち上がるならば食い込めないかともがいてみましたが、ダメでした。
しかして2年後、やはり予想通り、館林ではよりもいの公式聖地巡礼マップが作成され、またデジタルスタンプラリーが開催されます。

が、当然のことながら、個人の立場ではどちらのアクティビティにも、私は1mmもかかわれませんでした。
双方のイベントに関係の深い位置情報ゲームや絵地図を扱う技術の日本の、いやぶっちゃけ世界の最先駆者である(前者は過去形だが後者はリアルタイムで先駆者)私が、作品の流行りだした最初期から現地に関わっていたにもかかわらず、双方のイベントに1mmも関われなかったこの悔しさと言ったら...!
しかも、私の技術を使ってくれれば、双方を別々のイベントにすることなく、巡礼地図を使ったスタンプラリーイベントにだってできていたのに!
今に至るまで悔しくて仕方ありません。

コギトもアホですよね、少し先行投資して最初から盛り上げに関わって、かつ繰り返しアタックしていれば、今頃これだけの名作アニメのイベント実施実績取れて、またそれを梃子にコンテンツツーリズム協会なんかにも伝手ができて、他のアニメの聖地なんかにも事業展開できていたでしょうに。
またその先行投資自体、提案を持ちかけた私自身が強いこのアニメのファンで、採算度外視で何度も現地を訪れて活動したりしているのですから、それをうまく使えば情報収集なんかはコスト使わずに私の持ち出しで任せたりもできたわけですから、別に誰も思い入れのないアニメに営業かけるよりはよほど安上がりに先行投資を済ませられたでしょうに。
だいたい、別に運命だのオカルトを信じるわけじゃないですが、館林が舞台となったアニメに一緒に提案しませんか?と持ち掛けた会社の担当が実は偶然にも館林出身だったとか、そういうすごい偶然が重なるようなときは、大体流れが来てるのでよほど致命的なリスクでもない限り基本「行ったれ!!!」という時ですよね。
そういう流れを読めずに突っ込むタイミングを見誤るあたり、基本商売下手ですよねこの会社。

これ以上付き合っても益なしと考え、引き出せる金を引き出して損切り

オープンソース技術者にクローズソースの開発を強要したり、お仲間の会社にはムダ金支払うのに個人相手にはビタ一文払いたがらなかったり、挙句の果てに無償協力をせびる割にはこちらの要請には契約書にないことを盾に一切協力を拒まれたり、完全に弱い個人相手だということで舐められてました。
こんな会社に自発的に協力してくれることを期待してこちらの協力をつぎ込んでも疲弊するだけなので、差し引き大赤字なりに最低限引き出せる利益を分捕ったうえで関係を断って損切りするのが賢いわ、と思うようになりました。
何をやったかというと、1996年ごろにGIF特許でフリーソフトでも特許料を請求されるという騒ぎがあったと思いますが、あれと同じ知的財産使用料請求をコギト社に対して行ったのです。

Maplatは、私が取得した特許技術の上に成り立っています。
が、それは基本的にStrolyからのスラップ訴訟の恐れに対する防御手段として取得したもので、Maplat利用者にとってもこの特許の存在によってStrolyからイチャモンをつけられる危険性から守る役割をするもので、基本的にオープンソースの利用者に特許料を請求するつもりはありません。
特にバージョン0.4.0以降は、明確に後から特許料を請求するようなこともしない条項を加えているApache 2.0ライセンスに変更していますから、利用していて突然ある日以降私から特許料を請求されるというようなことはありません。
しかし逆にいうと、MITライセンスだったバージョン0.4.0より前は、その辺についての扱いが不明確でした。
まして当時のコギト社においては、そもそもオープンソースではなく私に強いて作らせたクローズソースを利用していたわけですから、さらに輪をかけて特許の利用権に関する扱いは不明確でした。
コギト社と結んだ契約書においても、ソースコードを作成する契約は結んでいますが、特許の知的利用に関する条項は一切ありませんでした。

そこでその間隙を利用して、私はコギト社に、特許の無償利用条項のあるApache2.0 ライセンス以降のオープンソース版に実装を切り替えずに、クローズソースを使い続けるのならば、遡って特許の利用料、知的財産利用料を払えと要求し、払わせることに成功しました。
GIFの特許料請求騒ぎも散々世の中から批判されていますから、正直言ってこんなやり方そこらの特許ゴロと同じなので、褒められたやり方ではないのはわかっています。
しかしながら、弱い個人に付け込んで、一方的に協力を搾取して自分の方からは一切協力しない企業相手に、縁を切る前に最低限の対価を支払わせるための武器としては私には知的財産しかなかったですから、仕方なかったと自分では思っています。
それにしてもバカバカしいのが、オープンソース版に切り替えないといけないとわかった途端、コギト社が「クローズソース版からオープンソース版への切り替えは簡単に行えますか?」と尋ねてきたことでした --- アホか!お前らが頼むからそんなことさせないでくれと頼んだにもかかわらずクローズソース版を作ることを強いてきたから、こちらは苦労して全然違うやり方でオープンソース版を作ったんだろうが!
今更「クローズソース版からオープンソース版へは簡単に切り替えられますか」とか聞いてくるんじゃねーよ、お前らが難しくさせたんだろうが。

最後に:まあぶっちゃけ悪いのは営業部長だけなんだろうけど

以上がコギト社と縁が切れるまでの間にあったことの顛末です。
いや本当にバカだと思いますね、個々の私に対する舐めた対応は、エコシステム構築に協力しなかったことにしても無償協力を打診してきたことにしても、全般的に私への協力を渋ってきたことにしても、営業部長が「少しでもコストを減らしたりできる可能性にはまず打診してしまうのです」と言ったように、ミクロな視点で得をするために行った行動選択だったのだろうと思いますが、
それが積み重なることによって私を怒らせて、事業に必須の技術の保持者である私がせっかく協力的だったのを敵対状態にまで追いやってしまって、結果事業の未来の可能性を自分で摘んでしまうというマクロ視点で多大な損をしてしまっている。
いや実際、心臓部の技術であるMaplatの協力を得られなくなっているambula mapに、将来はないと思いますよ、地図データを作成するエディタもライブラリも私の開発物におんぶ抱っこだから。
たとえば最新のMaplatってむちゃくちゃ進化してますが、それらの機能はambula mapしか今のところ顧客がいないiOSAndroidスマホライブラリには反映してないから、ambula mapは享受できません。
まだ最新版出していませんが、もうすぐ出る予定の最新版MaplatEditorも、大量の地図の管理機能が進化していたりとむちゃくちゃ進化していますが、そもそもデータファイルの仕様が変化してるので、最新のMaplatEditorで編集したデータはambula mapの古いライブラリだと動作しません。
よってambula mapは、新しい機能や新しいエディタにはアクセスできないまま、古いツールを使い続けるしかありません。
もちろん、別にスマホライブラリ更新しないの、ambula mapに技術渡らないようにしているだけじゃなくて純粋に開発能力の手が回ってない面もあるので、ambula map以外に友好的なスマホライブラリ利用者が現れてくれて適切な資金が入ればいくらでも更新しますけど、そうならずにambula mapしか利用者がいない限りは永遠に今のままなので、その場合ambula mapはいつか動かなくなる古いライブラリに頼り続けるしかない状況です。
iOSAndroidがOSバージョンアップしてライブラリが動かなくなった途端、突然事業を中断せざるを得ない危険性に常にさらされているわけです。
どれだけ顧客得ようが、開発者を虚仮にして怒らせて非協力どころか敵対関係にある限り、何をひっくり返してもambula mapに将来はないわけですね。ざまあみろ。

ただまあ、ぶっちゃけわかってるのですけど、コギトという会社全体が弱い個人に対して舐めた態度をとる悪癖があるわけではなくて、悪いのは私の対向をしていた営業部長だけなんでしょうけどね。
ambula mapが顧客とインタビュー形式の記事を書いているこちらの記事でも、その営業部長がむちゃくちゃ舐めたことをのたまっていますが、

日本は合議制の採択、というのが社会常識として広まっていますからね。日本人は個性を押し出すのが苦手な部分がありますが、これから2020年の新しい時代に向けて、ちょっと変だと思われるくらいの主張をしていかないと、本当に大切なことを見失ってしまうような気がします。

いやお前、個人と企業の双務的な協力関係で、組織の論理を振りかざして一方的に協力させて搾取した挙句、それに対する異議申し立てを封殺してきたお前が、何を「個性を押し出すのが苦手な部分がありますが...ちょっと変だと思われるくらいの主張をしていかないと、本当に大切なことを見失ってしまう」とか抜かしとんねん。
ここまでいくと、もう異常人格、サイコパスを疑わざるを得ない状況ですね。

正直、先にも書いた通り悪いのはこの営業部長一人だと思ってるので、この営業部長がambula map担当から外れたうえで、真摯に同社が過去の扱いについて謝ってくれるのであれば、別に協力関係を復活させてもいいとは思っているのですが、まあそのようなことはないのでしょうね。
なので、恨みつらみ以前に敵対している限りは同一の見込み顧客を取り合う商売敵でしかないですし、まともに機能改善を反映できない時点で市場でもStrolyと同様に時代遅れ、陳腐化したゴミソリューションでしかないわけですし、顧客の幸せのためにも、さっさとambula mapは潰れて市場から退場してください。

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